味探検 江戸前シリーズ 11(東京新聞1997年4月10日首都圏 情報ゆめぽっけ掲載) 

東京佃島・天安(てんやす)

漁師町の元祖佃煮、伝統の味

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 昭和39年佃大橋完成までは、明石町との間に隅田川の渡し舟が通うだけだった。大橋のたもとから住吉神社と掘りに囲まれた一角がもともとの佃島である。

 海を隔て一方が石川島、もう一方が「鬼平犯科帳」の主人公・長谷川平蔵が創設した人足寄せ場へとつながっていた。佃小橋の真新しい欄干に立って神社を眺めると、その方角から江戸の風が吹いてくる錯覚に襲われる。

 隅田川方向に歩くと、あたり一面醤油の煮詰まったいい香りがしてくる。ここが佃煮の名前発祥の場所である。堤防沿いに3軒の佃煮屋さんが昔ながらののれんを守り続けている。市中に老舗も数多いが、やはり佃にあってこその風格だ。

 天保8(1837)年創業という天安はその真ん中の店。裏手が加工場になっていて、4代目宮田松之助さんが鉄の大釜でアサリを炊き込んでいた。「これがうちの宝」という160年もののタレを指しながら、「加工方法は昔と同じだが、味は時代時代の味がある。四季ごとの微妙な味加減が難しい」とご主人。17種類の扱い品のうち春には昆布、浅利、白す、アミ、新海苔が人気とか。100グラム単位売り、6品入り(3000円・写真)など、2000円から各種詰め合わせもある。
 しょうがの香りがほんのり包まれた、釜あげ直後のアサリをつまんだ。この役得がたまらない。 (中島 満)

「天安」メモ

 中央区佃1ノ3ノ14。地下鉄有楽町線月島駅下車、6番出口出て5分。佃大橋手前を右折、隅田川沿いすぐ。電話による注文発送も可。(電)03・3531・3457。午前9時から午後6時営業。年中無休。

★天安ホームページはこちらからどうぞ。

取材メモ  この一角に、佃源田中屋(03-3531-2649)、丸久(03-3531-4823)の2軒の佃煮屋さんが天安同様に老舗のたたずまいを守り続けている。また、有楽町線月島駅から相生橋の方向の住宅地のなかにレバーフライの店「ひさご家阿部」(佃2−21−12)がある。さらに、月島駅から晴海通りの方向には、もんじゃ焼きスポットの月島から勝鬨橋をへて築地につながる。都営大江戸線も開通し、佃島・月島は味探検コースとして飽きないエリアを提供してくれている。

注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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