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味探検 江戸前シリーズ 16(東京新聞1997年5月15日首都圏情報東京新聞ゆめぽっけ掲載) 

両国・八百善(やおぜん)

将軍も満足、この一品

 江戸料理といえば八百善。高級料亭としての名が先行するが、江戸の味を現代に残す調理法の伝導者としての功績もまた大きい。洗練された薄味の京料理に対し、江戸料理は、かまぼこやきんとん、卵焼き、焼き魚といった「口取り肴」に代表される、しっかりと味付けし、手間をかけ贅をつくした饗応料理に特徴があるのだという。
 享保2年(1717年)開業のこの超老舗が、両国の江戸東京博物館の最上階に出店。江戸の味から東京の味へ、300年の伝統を受け継ぐ八百善料理の粋を、ここでは気軽に楽しめる。
 総料理長の橘川渡さんの「これぞ八百善」というおすすめの3品が写真。嶺岡豆腐(600円)。将軍さまが、千葉のご領牧場で豆腐を所望したが、適した水がない。調理人あわてず、牛乳を素材にした豆腐のそっくり料理を食前に出したところ大変に喜ばれたという。 八百善蒸しとも呼ばれるクルマエビ、ホタテ貝柱にインゲンを添えた茶わん蒸し(800円)。もう一品が、“えびかね”の五目あんかけ(800円)。揚げたエビ殻をすりおろし、エビの身に練り込んで揚げた歯ざわりゆたかな逸品。
 一品料理のほか、穴子有馬煮、天重、まぐろづけなどのどんぶり、幕の内や各種の懐石弁当にも八百善料理がいっぱいつまっている。 (中島満)

「八百善」メモ

江戸東京博物館7階の同店は2004年3月同館から撤退、閉店。

取材メモ  八百善の歴史については、別の機会にまとめたいと思う。

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