味探検 江戸前シリーズ 32(東京新聞1997年9月4日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

新宿区四谷・酒楽(しゅらく)

薬味たっぷりの名物カツオタタキ

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 カツオには2回旬が訪れる。9月中旬以降三陸沖から南下してくる戻りガツオ。今年は例年になく豊漁が続いている。7月の漁獲量は昨年の6倍。房州沖漁も期待できるというから、カツオ好きにはうれしい情報だ。

 江戸前料理なら初鰹の銀皮造りだが、戻りガツオは刺し身もよし、炎であぶり柑橘酢を加えたタレで食べるタタキがまたうまい。

 江戸時代タタキというと「鰹醢」と書き「肉の端や小骨を敲き和めて醢とす」と本にある。いまでいうナメロウのようなものだったのかもしれない。鰹醢と現代の土佐造りの間がどうなつながるのかは知らないが、うまさでは文句なし、現代のタタキに軍配が上がる。
 はじめて食べたカツオのタタキの味が忘れられずに通い続ける店が四谷にある。店名のように、高知中村出身のご主人・佐竹伸次さん、奥さんの良江さんと話をしているだけで楽しくなる店なのだ。カツオタタキ(700円・写真)には、身を覆い隠すようにたっぷりのタマネギに紫蘇、生姜、ニンニクの薬味がかかっている。高知馬路村産ユズの香りが食欲をそそる。

 写真の土佐天(400円)や自家製のツミレ(600円)など家庭の味オンパレード。夏だけの露芋(ズイキの一種)とアジの酢の物(300円)。故郷の旬を味わえる店である。サバ姿すし(1本2000円)がまたうまい。    (中島 満)

「酒楽」メモ

新宿区四谷2ノ13。JR四谷駅下車四谷見附交差点から新宿通りを新宿方向に二つ目の信号先50メートル、四谷税務署の標識のある細道を右折すぐ。歩5分。(電)03・3351・7530。カウンター14席。2階座敷30人まで。営業時間昼定食11時30分〜午後1時30分。夜午後5時〜11時。定休土・日曜、祝祭日(予約宴会の場合営業)。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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