味探検 江戸前シリーズ 35(東京新聞1997年9月25日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

横須賀市・明月(めいげつ)

フトコロちょっぴりでも上ネタたっぷり

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 横須賀中央駅から山手にむかう急坂。いまでこそ勾配もゆるやかに文字通り「平坂」になったが、その昔荷車が坂を登る手伝いのオッペシという商売があったほどの難所だったらしい。ここを8分目ほど登ったところに「うまくて安くて江戸前ネタをたっぷりと味わえる店がある」(前々回登場の一柳氏)と聞いてさっそくのれんをくぐる。
 懐の心配をしながらのネタ選びのスリルがたまらんというヘソまがりもいるようだが、ここなら安心という店を知っているにこしたことはない。東京湾周辺のネタだけでどれくらい食べられるのか1人前1500円勘定で2人前(3000円・写真)を握ってもらった。こんな注文にも気楽に応じてくれる店なのだ。
 小柴のアナゴ、コハダにアカガイ、富津のトリガイ、久里浜のタコ、鴨居のマダイにサバ、それに明月特製卵焼き。「松輪の釣りサバだ、本マグロの大トロなどと原価の高いネタを望まれれば別ですが、お一人3000円の予算もあればたっぷり食べられます。地ものネタ8種16個でこの値段で出せるんですよ」とご主人の石崎宗一さん。ここの上寿司(1500円)がこのネタで!とびっくりするほど。客も知っていて、こういう店には家族連れでも気楽にカウンターに座っている。カウンター客の活気と食気のある楽しい店をみつけた。 (中島 満)

「明月」メモ

横須賀市深田台34。京浜急行横須賀中央駅下車。駅前通りを右手に駅安浦側のガードをくぐって平坂方向に。きつい坂を登りきる手前左手通り沿い。歩3分。(電)0468・24・2226。カウンター8席、上がり13席。営業時間後5〜11時。定休・日曜。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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