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味探検 江戸前シリーズ 39(東京新聞1997年10月23日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

築地・居酒屋 そとがし

名物マグロ中落ち、人情味もたっぷり

 「魚河岸物語」というテレビドラマがあった。鰹節問屋の2階に居座った小林薫演ずる正体不明の青年と河岸に生きる人々のあったかい人情とのふれあい模様が妙に心に残る。ドラマの舞台になったのが、築地6丁目場外市場の一角。古い家並みの魚問屋街も最近は高いビルがめだち、ケヤキの看板が似合う木造の商家も少なくなってしまった。
 「親戚連中も実名で登場した」という小高彦七さん。鉄道マンから折り箱職人をへて、居酒屋を始めて27年。まだ残る細路地を入ったところに小さな看板を出している。夕方電気がつかないと、ここが居酒屋とはちょっと気づかない。「常連さんですぐ一杯になる狭い店ですから、一見のお客さんは電話で確認してくださいな」と小高さん。
 名物は本マグロの赤身の中落ち(1000円)。「トロ、トロというがこいつが一番うまい」そうだ。でかいどんぶりにたっぷりの盛り。どの刺し身も2、3人前はある。ヒラマサ(1700円)、活シメヒラメ(1800円)と河岸ならではの魚が楽しめる。奥さんのよねさん自慢の卵5個使ったビック卵焼き(850円)を大根オロシで食べる。常連飲み助の定番メニューだ。 狭い急な階段から、ぬーっと小林薫が現れる。そんな雰囲気がただよう裸電球が懐かしい河岸極め付きの居酒屋である。(中島 満)

「そとがし」メモ

中央区築地6ノ21ノ6。地下鉄築地駅下車、築地4丁目交差点左折、晴海通り築地6丁目信号手前1本目の細い路地を右に入り3軒目。(電)03・3541・8149。カウンター3席、テーブル12席。営業時間午後4時30分〜9時。定休・日祝日、休市指定水曜日。

取材メモ  この間久しぶりに河岸の友人と飲みにいたら、店内をすっかり改装して、きれいにしてしまい、普通の居酒屋というか食堂になってしまったのが少々残念だが、ご主人とおかみさんの笑顔と あたたかな応対ぶりはいつもながら河岸場外の人情味があふれている。

注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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