味探検 江戸前シリーズ 51(東京新聞1998年1月22日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

東京湾口 油壷・あさ彦(あさひこ)

『マタギ』がくれた旬の根つきキンメダイ

 東京湾の入り口、神奈川県剣崎と千葉県洲崎より内側の浦賀水道には好漁場が点在する。漁場のことを漁師言葉でバというが、バのを指す海底岩礁のことを根(ネ)とか瀬(セ)といっている。松輪根もその一つ。三浦海岸の南に回り込んだところが松輪漁港。ここの漁師さんによって古くから大切に利用されてきたことからマツワネと呼ばれ、地元ではマタギで通っている。
 外海から回遊し根付いた魚たちは数は少ないが脂ののりがよく高値で取引されるという。それだけに松輪漁師は魚を絶やさないように、1本1本ていねいに釣り上げる。この数年知名度を上げてきたマツワサバも7月から約3カ月の漁に限定されるとのこと。「松輪や城ヶ島など地魚を地元漁師さんとタイアップして食べてもらおうと4年前に店を始めました。松輪ものならサバは9月頃、いまキンメダイ漁がまっさかり」と荏原正典さん。
 朝出漁し午後水揚げしたばかりの魚を料理するのが荏原さんの身上。キンメの刺し身(800円写真)はもちろん、酒蒸し(950円写真)も説明不要のうまさ。煮、焼く、揚げ蒸しなど、他の旬の地ザカナと食事も加えた料理を予算に応じて楽しめる(コースは5千円程度から)。城ヶ島回りでとれるアカエイの煮凝りなどこの店だけのメニューも豊富。シケなど漁具合があるのでぜひ電話予約を。(中島満)

「あさ彦」メモ

 神奈川県三浦市三崎町小網代1255。京浜急行線三崎口下車、油壷行きバスで終点ひとつ前の荒井館前下車して100 先右手。(電)0468・82・6925。カウンター10席、座敷25席。営業時間11時分-後2時、後5時-10時(土日フルタイム)。定休月曜。

取材メモ  

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