味探検食単随筆 魚食論その3


インドア魚焼き装置

IRORI

を開発しよう!!

秋刀魚焼く―この炎じゃ真っ黒焦げだ

天然落ち鮎を焼くには囲炉裏に限る!

 

掲示板にふと飛び込んできた外国ぐらしで苦労する魚焼きの話題が、何度か言葉を交わすうちに、煙りに苦労しないインドア魚焼き装置がないものだろうかということになる。既存製品にないなら自前で工夫して作ってみようというインドア魚焼き装置のアイデアを「パクパク」さんとぼく(MANA)とで交換し合った掲示板の意見交換から若干内容を整理して新しいページに構成しなおしました。このページを中心に、「焼き魚」についてのリンク、エッセイを加えて「魚を焼く」を、料理、魚食文化などいろいろな角度から考えてみます。

2003年8月29日(MANA)


 

(1)焼き魚の世界 

パクパク  08/14


はじめまして。
面白そうなサイトですね。
語源のサイトから飛んできました。
わたしは、魚調理法に興味があります。
魚はおなじでも、調理によっておおきく味がちがうからです。
そこで、ポイントは、焼きとおもいます。
うなぎも、「焼き」は一生といいます。
管理人に、おたずねしたいのは、世界のなかで魚を焼いて食す習慣がすくないのはなぜでしょうか?
おおくは、煮る、炒める、蒸すが主力のようにおもいます。
オーブンやバーベキューの焼きがありますが、日本の焼き魚のような味にはなりません。
もっといえば、日本のガスコンロや、フィッシュロースターの味の改善がなければ、焼き魚の消費が増えないとおもいます。
これらの焼き方では、魚の臭みがとれないし、調理後の後片付けがたいへんです。


おいしい焼き魚+醤油+ごはん


この組み合わせは、日本人ばかりか、世界にも通用するとおもいます。

 

(2)同感です 

MANA  08/15  


パクパクさんへ
MANAしんぶんの掲示板へのご意見ありがとうございます。
魚のおいしさ、焼きにありということ同感です。
有史以来、人類は、生、焼く、煮る、蒸す、炙る、の料理法によって食事をよりうまく味わってきました。
ぼくは、日本以外外国の食事を実体験したことがほとんどないので大きなことはいえませんが、魚を焼くことによって食べる人々は、少ないということはありません。中国や朝鮮の料理法においても「焼く」は現代でも基本的なものです。日本で言うアユやイワナを串刺しにして河原で取り立てで焼く方法もちゃんとありますよ。料理本で紹介されていないだけで、まだまだたくさんの人々が焼いて食べているはずです。
確かに日本のように焼きに一生の技術をかける重きを置く国も少ないかもしれませんが、ヨーロッパに修行にいってきたシェフたちでも、やはりほとんど少しの塩味だけのローストがいちばんうまいなんてことをいいます。カジキやマグロやサワラのようなものまでけっこう焼いて、いろいろなソースをつけて食べているようです。
パクパクさんのいわれるように、ロースターの工夫や調理法の工夫で消費が増えてくればいいと思います。魚を家庭で調理する楽しさを知ってもらうために、自分で作る楽しさ、ひとに食べてもらう楽しさをしると、魚を食べ尽くし余ったら保存食として工夫することもまたたのしくなります。どんな粗末な食事でも家族の食卓復権がまずなにより必要かもしれません。
あんまり答えになりませんでしたね。

 

(3) 魚と焼き 

パクパク  08/16 


ご回答ありがとうございました。
けっこう、塩にローストで食べているのですね。
日本人で、海外赴任した人の、魚焼きの苦労の
話は聞きますが、魚焼きのおいしさを世界に
広めてもらいたいものです。
日本においても、東京では、ほとんど、居酒屋でも
ガス焼きです。
焼き鳥は、炭火にしているところが多いのに対して
魚焼きのほうは、プロが焼き方にこだわっていないようです。


(4) 世界の焼き魚料理 

MANA  08/19


パクパクさんへ
今朝NHKのニュースで、イラクの戦後問題の一つで、レストランの経営が窮地にたたされているという主題でしたが、そのレストランは、まさに、直火でコイの種類の丸のママの半身を串にさして、炭火の炎で直火とあぶりの半燻製状態で焼く映像が流れました。

料理は、「マスグーフ」という伝統料理だそうです(もともと1200円ぐらいが、600円ぐらいの半値で出さないと売れなくなってしまったと嘆いていた!)。もともとチグリスユーフラティス川沿岸の魚料理は有名で、マス科の魚をあぶりヤキするということは聞いていました。グットタイミングだったので、メモがわりに自己レスしておきます。ぼくの考えでは、日本が焼き魚の技術が優れている、と考えるのは、ちょっと早計です。

料理というのは、その国の伝統的な地盤で進化していくことがベースにあって、外国にも焼く煮る炙るという非常に進んだ技術が技術伝播とは別個に独自に意外と存在しているものではないでしょうか。こういういい方は、ちょっとネイティブなひとに失礼になるかもしれませんが、アマゾンの現代文明から離れて暮らす「部族」の人たちのレポート、映像をみると、川魚を、その日食べるだけとって、10匹釣ったらもっと沢山釣れてももうやめて帰ってきて、たき火で何もつけずに焼いて食べる。これだって焼き魚です。ヨーロッパに行った人の話では、街角で焼き魚の匂いが漂ってきて、その方角に行ってみると、炭火焼の直火のオーブンの上で魚を焼いていて、ほとんど単純な塩味系統だけで食べたら、なんと旨いことかと思ったそうです。
パクパクさんは、住宅事情などでおいしい魚が焼ける台所の魚焼き機の工夫という意味で言われているのはわかります。それはその通りだと思います。


(5)外国で魚を焼く

パクパク  08/20


外国ぐらしのかたがたが魚を焼くときに苦労をされているのをメーリングリストなどからひろってみました。

http://www.din.or.jp/~hattori/sakana.html

皆さん、いろいろ創意工夫しているようです。
一度読んでみて下さい。

管理人さんのお話は、私の魚焼き感をほんとうに変えます。いままで、外人は、日本人を見たら、魚臭いというくらい焼き魚を毛嫌いしていたとおもっていました。

ところで、いまの日本の子供たちが魚焼きは、あまり食べないとおもいます。
わたしは、食文化の問題ではなく、調理器具の問題とおもっています。
魚の臭みが抜けないから、非常にまずいです。
これは、街の食堂もおなじです。

昔のバラックで、七輪に、近海の安魚を焼いて、ご飯をたべてほうが、味覚的には、現在のガスグリル焼きより数段上だとおもっています。
昭和40年代までは、まだ、日本のビジネス街の昼飯屋では炭火の焼き魚をだしていたようです。

 

(6)外国で魚を焼く

MANA  08/24


パクパクさん
外国ぐらしのひとたちの焼き魚奮戦記おもしろいですね。
昨年の秋撮った写真なのですが、9月に熊本県の川辺川でとれた巨大な下りアユを12匹送ってもらって、アユ焼きパーティーをしたときのことをアップしてみました。
 http://www.manabook.jp/essay-ayu.htm

TOPページ“旬の写真”と、上記URLにアユを焼いた写真を載せておきました。巨大アユ故に普通に焼くのでは魚焼き器に入らないのと、ただ七輪で焼くのでは、アユの姿が直火で崩れてもったいないので、串に刺し、七輪の回りにアユを立てられるように工夫をして、ジュラルミンの板を円筒形にして被せ、遠赤外効果を発揮させて、じっくりと焼き上げました。
焼き方一つでアユの姿香り、これぐらい引出されるものと感心しました。

子供が魚を食べないようになったのは、なにも焼き魚に限ったことではないのですが、親がちゃんと食べていないからですね。親がこんなうまいものは、こどもにはもったいなくて食わせない、というようなぐらいの遊び感覚で魚食を楽しめば、そのときは、参加しなくても大きくなってから真似て食べるものじゃないかとおもっていますが、どうでしょう。

 

(7) これは凄い!

パクパク  08/24


ただひたすら、脱帽です。
味がよいばかりか、煙もなく、油掃除も簡単だったとおもいます。(屋内でも大丈夫でしょう)


>串を刺せるように植木鉢台を利用し、真中に七輪を置き、ジュラルミンの板を円筒形にして被せて塩焼きにする。

質問があります。
Q1 ジュラルミンでなくてもいいのでしょうか?
Q2 植木鉢に串をさすとは、どういうことでしょうか?――そういう専用の鉢をカッパ橋でみたことがあります。
Q3 このような画期的なアイデアを突っ込んで商品化するような会社の心あたりはありませんか?


魚の美味しさは、内臓ですよね。
多くの人は、調理器が悪いことをしらずに
内臓をとりだして、料理します。
遠赤でやくと、内臓は生臭さが消え、ホクホクします。


(8) 魚焼き装置を図示してみた

MANA  08/24


パクパクさんへ
調子にのって(6)の写真を判りやすく図示してみました。

 “IRORI”のラフスケッチ

> Q1 ジュラルミンでなくてもいいのでしょうか?

アルミの板だったか、ホームセンターで売っている薄めの熱が反射の可能な金属板ならなんでもいいですよ。ブリキ板でも十分だとおもいます。


> Q2 植木鉢に串をさすとは、どういうことでしょうか?

<図A>の段階では、植木バチ台に串が動かないように固定させるということですが、<図B>なら、この部分を砂に刺して、囲炉裏の灰に刺すようにして見たらいいのではないかと、今度やってみます。


>そういう専用の鉢をカッパ橋でみたことがあります。

DIY系のホームセンターで揃います。

> Q3 このような画期的なアイデアを突っ込んで、
>商品化するような会社の心あたりはありませんか?

商品化などしなくても、アウトドアの遊びの世界では、けっこうこの程度の工夫はみんなやっています。たとえば、燻製器具を1斗缶を利用するとか、庭に大き目の植木バチを用意して即席囲炉裏を作るとか、レンガも使えます。

> 魚の美味しさは、内臓ですよね。
> 多くの人は、調理器が悪いことをしらずに
> 内臓をとりだして、料理します。
> 遠赤でやくと、内臓は生臭さが消え、ホクホクします。

但し鮮度のよいものでないといけません。内臓がおいしいもので、ドンコのようなものは、はらわたの部分を新聞紙で奉書焼きの要領で包んであげると内臓が破裂しないで焼けます。岩魚、ヤマメや普通の川魚類は、腹に川虫などが入っていますから取り出したほうがよいです。その代わり、イワナの腹に味噌(山椒味噌ならなおよろしい)を入れ新聞紙で包んで焼くとそれはおいしい料理ができます。いろいろ工夫してみるのは楽しいですね。10年ぐらい前まではけっこう川釣りをしたのですが、このところさっぱりです。
パクパクさんのホームページをみると、百名山踏破された山好きのかたなのですね。

 

(9) RE:よくわかる図示

パクパク  08/26


どうもありがとうございました。すごくよくわかります。
この考え方をインドアにもっていけばいいのです。
煙も出ないし、油処理も簡単です。
熱源は、なにも炭でなくていいのです。
ところで、岩谷産業の炉端大将がヒットしているようです。
焼き鳥をカセットガスコンロでつくるものです。
何も炭でなくていいということです。

なお、わたしは、100%室内派です。
ただアウトドアの興味があります。
バーベキューや燻製です。
ダッチオーブンも買いました。

室内で、アウトドア料理をしているわけです。

そうしていると、こんなに美味しい魚をなぜ日本人は食べなくなったのか非常に不思議になってきたのです。
また、日本人が魚を食べるようになるとどんな事をすれば、食べるようになるのかも考えました。

 

(10) RE:よくわかる図示

MANA 08/26


パクパクさまへ
インドアねえ。けっこう熱気とけむりは出ます。炎に直接当てるような煙ではないけど、室内ならきちんとした排気設備がないとね。台所のコンロ台に置いてサンマか何かで一度やってみましょう。


> ところで、岩谷産業の炉端大将がヒットしているようです。

どんなものか直接どこかで見てみます。ダッチオーブンは、ぼくも興味あるんですが、未体験。

> また、日本人が魚を食べるようになると
> どんな事をすれば、食べるようになるのかも
> 考えました。

永遠のテーマです。ぜひぜひその一端なりとお聞かせ下さい。

 

(11) 囲炉裏料理は煙が出ません

パクパク  08/26


原理的に、囲炉裏料理は、魚から煙はでません。
たぶん、デジカメ写真からすると、魚が炭の真上にきている可能性があります。
こうなると煙がもうもうとでます。
イラストのように離せば、大丈夫です。
さんまを焼いても、タバコの煙ほどもでません。
さんまの季節ですから、ためして見てください。
感動するはずです。

囲炉裏料理の楽しさは、自然農法家福岡正信氏の囲炉裏を
NHKでみて感動したものです。

岩谷産業については、3月25日のニュースリリースを参考ください。

 http://www.iwatani.co.jp/jpn/news/index.html


こういう志の高い製品があるのです。
どうして、突っ込んで、インドア魚焼きをつくらないのかわかりませんが、いずれ、ニーズはあるので誰かがつくってくるとおもいます。

ちなみに、東京では、中野の「陸蒸気」(おかじょうき:居酒屋、ブロードウエーから小道に入る。駅から徒歩3分―MANA註)が、ただしい囲炉裏料理タイプの魚焼きをだします。
この店は、有名店ですが、排煙設備には、そんなにおおげさなものをしていないとおもいます。

あと、浅草に、看板だけで焼き魚専門居酒屋がありました。

愛宕(虎ノ門)に、魚焼き専門の昼飯屋が現存しますが、あらかじめ、魚を焼いており、客がオーダーするとチンしてだすものです。
電子レンジでチンすると、間違いなくうまみは消えてしまいます。

 

(12) RE:囲炉裏料理

MANA  08/27


ぜひ体験実験してみます。
今日の夕食は、横型火鉢で新サンマを焼きました。
家で炭をおこすのにいつも苦労します。
囲炉裏料理の中野の居酒屋はぼくも時々使います。
でも、囲炉裏料理といえば忘れてならナイのが八王子の野猿峠(やえんとうげ)にある「鎌田鳥山」(かまたとりやま)です。

 http://www.manabook.jp/aji-map.htm


から、八王子の横の「鑓水峠」(やりみずとうげ)をクリックしてください。そこからぼくの記事が読めます。
同じような名前の“ウカイトリヤマ”が高尾八王子などにありますが、この鎌田のとや料理の囲炉裏の方法を形だけ真似て鳥山の名前を使っているものです。トヤは野鳥猟場という意味の中部地方の方言ですが、飛田出身の先々代の鎌田氏がトウキョウの多摩丘陵の稜線上に猟場をつくり、山小屋ともに野鳥料理の店を始めたのが始りです。
現代までほとんど昔のママの山小屋式の囲炉裏小屋で野鳥といってもいまではウズラなどですが、ヤキトリだけを出します。ここの囲炉裏は、山小屋や田舎の囲炉裏体験をとおして、とても印象に残るオーソドックスタイプの囲炉裏です。ご存知ならいうまでもないことですが、もしまだでしたら、一度暇な折出かけてみて下さい。うまい料理を食べるというより、稜線を流れる空気を感じにトヤの空間を食べに行くという感覚を持てる人ならご満足頂けるはずです。秋が最高によい季節です。

 

(13) RE:囲炉裏料理

MANA 08/27


自己レスでしつれい。もう一つ、ぼくの囲炉裏料理体験記のなかで、
 http://www.manabook.jp/zacko04-urasayana.htm

があります。この時の八つ目ウナギは旨かったなあ、ヤマメやカンバヤはさらに旨かった。カジカ酒をしこたま飲んで、先輩に運転させてへべれけになって帰ったなあ。


(14) ヒーターのほうが好都合

パクパク  08/27


よい店をご紹介いただきありがとうございました。さっそく行ってみます。知りませんでした。ところで、家庭で炭をおこすのは大変だとおもいます。
じつは、ヒーターでいいのです。
従来の常識をはずしてみてください。
煙がでないのです。
魚のドリップが炭におちると煙がでますが、ヒーターにドリップがあたっても煙はまったくでません。ヒーターは、秋葉原に売っています。
それを長方形の七輪に工夫してとりつけます。
ただし、この場合、油掃除が大変になるのでアルミホイルかなんかで工夫してください。
家庭で、快的、美味囲炉裏料理。
わたしは、この方向は、外人にも受けるとおもいます。

 

(14) 魚焼き装置“IRORI”

MANA  08/28


パクパクさんヒーター実験してみます。
今回のパクパクさんとのダイアログとてもおもしろいので、「インドア焼き魚のすすめ」「インドア焼き魚器具“IRORI”開発がおもしろい」というタイトル(もっといいのあるかもしれない)で、新しいページ作ってみますが、いかがでしょう。それと、ぼくが参加しているFish-mlというお魚大すき人間たちのメーリングリストに流してみてもよいですか。

 

(15) もちろんOKです

パクパク  08/28 


光栄です。
IRORIというのは、現代的ですごくいいですね。
昔、HIBACHI料理というのもあったような気がします。
横文字にして、それは、炭ではなく、電気を意味することにしたらいいとおもいます。最近は、カーボンヒータという炭なみのものもありますが、通常のフィッシュロースターについているシーズヒータで十分です。

BBRGS broil,bake,roast,grill,smoke

インドア焼き魚器具IRORIは、このいずれもできて、部屋をよごさず、
後片付けが簡単ではなく、不要。
もちろん、魚以外の食材にも適用可能です。
毎日が楽しくなります。

――以下順次話題が加われば追補していきます(2003年8月28日記)。(MANA・なかじま)


HOME  食単随筆


copyright 2002-2004,manabook-m.nakajima