まなライブラリー氷の文化史日本氷業史・氷室文献雑録


Ice 003 皆川重男氷業史資料

氷業史資料文献目録

皆川重男編著

昭和41年5月10日発行


もくじ

資料[表紙装丁]TOP

●その1 明治期以前〜明治45年

●その2 大正元年〜昭和19年 

●その3 昭和21年〜追捕   

氷業資料余話―先覚者 中川嘉兵衛翁(「日本古書通信」自著解説)


MANAによるコメント 全34頁の「氷業史資料文献目録」は、皆川重男氏を訪ねたとき直接いただいたものである。皆川氏は、幕末から近現代発行された新聞のなかでも「号外」の収集家として知られ、約1万7000点に及ぶ新聞号外資料は「皆川号外コレクション」として荒川区に寄贈され、現在は南千住図書館併設荒川ふるさと文化館で公開展示(収蔵内容のビデオもあり)されている。

 また、近世近代の錦絵浮世絵などのほか、生家が氷屋を営んでいたことから氷業史資料の収集を行い、営業用の広告やビラや新聞雑誌記事から氷業会社の営業資料、古今の氷室制度資料を含む原本と幅広い収集内容となっている。これらの文字画像の文献資料として残るものを整理したものが、本書である。全文孔版、つまりガリ版印刷であるが、奥付に記されている印刷者の磯部鎮雄氏の孔版技術の高さは、以下にスキャニングしたJPEGファイルによって示した、表紙装丁や口絵として添付された画像の復元によってもしられるなど、氷業史資料の内容はもとより、興味のある1冊である。奥付により、限定100部印刷となっている。氏が序文に書いているように、これらの氷業史資料のコレクションのうち、一部を、甲州文庫で知られる功刀亀内(くぬぎ・きない)氏から譲りうけている。おそらく、号外収集の関連で関係をもった功刀氏のもとにあった、近世史上、産業史の上でも分類がされていなかった氷業史のジャンルの雑資料の存在を知り、購入したのか、無料だったのかは知るよしもないが、譲り受けたものと思われる。さらに、皆川氏への取材時にも聞いたのだが、同じ序中にある、農水省技官であった亘理信一著「製氷の事業と技術」(水産文庫、1950年刊)、法制度史学の滝川政次郎「氷室と削りひ」(1943年)、生物学者の大島正満氏らの文章からの啓発をうけ、古代氷室制度に裏付けられた氷業史が幕末から明治の維新動乱期に登場する中川嘉兵衛の起業の意味するところを、近世近代史の庶民史の一ジャンルとして位置付けた氷業史資料収集が行われたのではないかと推察される。

 氷業史というジャンルが、歴史や民俗の資料のうち、どのような位置付けをされているのかは、不明なのだが、いずれにしても、これまでほとんど注目されてこなかった「氷業」「氷室」「蔵氷と賜氷」への関心を、近世庶民史の造詣の深かった皆川氏であったからこそ、ここまで集められたのだと、つくづく思う。本書は、確か国会図書館にも蔵書されていたと思うが、氷業史、氷と人間のふれあいの歴史に関心を持ったものどうし、その貴重(小生はそう信じて疑わない)な資料群の全貌を公開し、手元で確認のできる同一資料については、その内容をも、MANAライブラリーの中で読めるように整理をしてみようと思う。

(MANA)2003年5月記

●過日、皆川重男さんのご遺族の方を訪ね、氷業史文献のことをうかがいましたら、息子さんの宣男さんが主たる資料の大半を、自宅の1室をそのまま皆川さんの蔵書を移し保管されているとのことをうかがいました。2003年6月、皆川重男さんの七回忌も終えた1日、南千住の宣男さんの「満寿家」というおすし屋さんを訪ね、10年ぶりぐらいに再会した氷業史資料の数々を拝見させていただく機会を得た。

 そのとき、あるファイルの中から、「日本氷業史資料文献目録」発行について、「日本古書通信」という古書業界媒体に、発行の由来などを皆川重男さんの名前で投稿しているコピーを見つけ、宣男さんに同意をいただき、本ページにテキスト化してのせることにした。皆川さんご本人が署名入りで書いた原稿というのは、非常に少なく、短い文章ながら、ぼくの知らない、今となっては貴重な事実について記されている。

氷業資料余話―先覚者 中川嘉兵衛翁 皆川重男

(自筆内容解説)

(MANA)2003年6月記


氷業史資料文献目録 表紙装丁

表紙1

氷業史資料文献目録

〔氷旗のカット〕

官許 氷 龍紋氷室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表紙2〕〔表紙3〕印刷なし

   

表紙4〕裏表紙 孔版にて氷水のカットあり

 

 

本扉〕皆川重男編 氷業史資料文献目録

 

本文 孔版印刷・袋とじ製本〕

―前付け1―

透明 氷 桝屋組合 ○タテ42p ヨコ30p○

氷小旗

 

 

 

 

 

 

 

 

―前付け2―

氷売

出羽越後等にあり、深山幽谷シンザンユウコクへ取に行、里へ持出、先所の地頭ヂトウ又代官等へ呈して後、売人は別に何人もありて篭に入れ笹葉をのせて、城下又は繁昌ハンジャウの地へ出、駆歩行てうるに買人あれば、鋸にて挽割てあたふ所に依て六月一日より七月迄も商う、此冰山に寄て種々あり、よって山の名を呼んで売歩行となり。

   この集撰まれしかたはらより蝶六の語りけるを聞て

 山の名を呼んではしるや氷売  梅令

         ―天保一三年序のある俳諧職業尽より―

 

―前付け3―

俳諧職業尽

 氷売

 

 

 

 

 

 

〔孔版複製〕

 

―前付け4―

 世は正に冷凍、冷蔵の時代であります。

 昭和四十二年は明治から通算して百年ということになる。とすると、氷界の先覚者、中川嘉兵衛翁が氷の普及に苦心せられてより、約百年ということで、急に思いたって手もとの資料やメモを整理したのがこの目録です。

 私の父は明治時代から東京の氷商でありましたが、戦災にあい廃業しました。私は昭和のはじめ頃より新聞史研究のため古い新聞雑誌を渉猟するうち、屡々氷の事を散見するのに興味をもち、これを収集、書きとめておきました。その間、甲州文庫の故功刀亀内〔くぬぎ・きない〕先生のご協力を得て数々の資料も蔵することができました。

 戦後、「京都氷業史」と亘理信一氏の「製氷の事業と技術」を入手するに及んで氷業の歴史が詳述されているのを知り、おおいに驚き、かつ井蛙の自分を恥じ入りました。

 その後、先生は他界され、私も勤務に追われ、収集は止ってしまいました。したがって、内容は粗雑でメモ程度としてご覧いただければ幸甚です。万一、東京の氷業史と風俗に興味を持たれる人によって補正されるようなことがあれば、これに越した幸せはありません。

 この目録作成にあたって、磯部鉄雄〔鎮雄?〕氏と白鳥光市氏に多大のご尽力をいただき、あつくお礼を申し上げます。

   昭和四十一年四月

皆 川 重 男   

 

 

〔はさみ込み〕

東京 盛大氷店一覧表

〔原本:明治247月出版 氷店番付〕〔孔版複製〕 

 

 

 

 

 

 

 

1頁〜33頁―

氷業史資料文献目録(明治以前〜昭和39年、追捕)

本文〔以下EXCELでMANAにより再編して表示〕

●その1 明治期以前〜明治45年

●その2 大正元年〜昭和19年

●その3 昭和21年〜追捕

―34頁―

〔奥付〕

氷業史資料文献目録(限定百部・非売品)

昭和四十一年五月十日発行

編集発行者 東京都荒川区南千住一ノ八八

      皆 川 重 男

印 刷 者 東京都北区志茂一ノ二三

      磯 部 鎮 雄

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