味探検HP記載にあたってラーメンの扱いについて

 ゴタクとオコトワリ                       

ぼくはご多分に漏れずラーメン大好き人間である。ところが、世にラーメン情報が氾濫していて、首都圏の街道を歩いていると、多い場所では10メートルに1軒ぐらいの割にラーメン屋が立ち並ぶ。何と多いことか。店前にお客さん並んでいたり群がっていたりする店などによく出会って、入ってみたりするのだが、8〜9割方は、過剰に脂っこかったり、塩味が強すぎたりで、食べ終わった後に胸やけがして、なかなか、これぞという味に出会わない。けっこうイイダシをとったり、良い原料を使っているのがわかるだけに、なんでこんなにしょっぱくするんだろう、もったいなーと感じてしまう。

 こういう味加減を好む人が時代の主流にいるということなのだろうが、すくなくともぼくの胃はこういうラーメンを受けつけない。自分では、悪食にはなれていて、などと物申してはいるが、さりとて、ラーメンは悪食かというと、ラーメン屋さんのかたがたに、何を言うか、とおこられてしまうだろう。ラーメンはかくあるものと言うのは100人いたら100人違う食べ物の典型なのかもしれないのだから、好きな人は食べれば良いし、いやなら食べなければいい。ただそれだけなのかもしれない。

 ただ、ラーメン好きだけに、ラーメンが食べたくなると、ラーメン1杯のために冷凍庫に作り置きの鶏がらベースのダシに、このみの野菜スープをブレンドして、これも作り置きの自家製しょう油タレで自分で作って食べてしまう。そのときの麺は、マルタイラーメンの乾麺とか、近くの麺屋さんの生麺を使う。ラーメンの名店といわれる店にかなわないなーとおもうのは、麺ぐらいで、あとは、スープもタレもチャーシューも好みに作っておいた味で満足してしまう。

 ぼくの好みのラーメンは、「しょう油ラーメン」(こういう分類がはたして正しいかは別にして)を例にとれば、スープは鶏ガラベースの清冽に澄んだ清湯を使い、適度に良質の脂分がスープにキラリと浮き上がり、麺は細麺でも太麺でもいいのだが確たるコシがあり、チャーシューは、バラ肉でももも肉でもどちらでもいいのだが、値段相応にしっかりとした大きさの手作りのものがのっていて、シナチクは輸入中国ものにありがちな過剰な臭いのしない手作り製で、化学調味量は限りなく少なくしてほしい…と、まあこんな調子である。かくして、世のラーメン情報の伝えるままに、あっちに行ってはズルズル、こっちに行ってはズルズルっとけっこう人並みにラーメン行脚はしてきたつもりだが、ひどいときには数日胃モタレしてしまうこともあるほどだった。

 かくして、味探検に際しても街道ラーメン特集なるものを考えたりして街道ラーメンマップを書き始めたこともあるだが、これといったラーメンになかなか出会えず、かえってうんざりして、現在まで、いわゆるラーメン屋さんというラーメン専門店の記事は皆無となったしだいである。

 それでも、何軒かはいいセンいっているなあ、このスープどうやってとっているのだろうと思うこともままあるが、一項目をおこすほどにはいまだ整理された味分類として踏ん切りをつけられないのが現状なのだ。

 そもそもラーメンとはなんぞや。ぼくにラーメンの味など云々する資格があるのかなどなど、自問自答を繰り返して、最近の世のラーメン幻想の世界にのりきれない自らを味探検者として恥じながら、現代のラーメンは、きっとまったく知らないウチュウのどこかからきた人々がうまいウマイと言って食べる食い物なんだと、多少あきらめ気味に、ラーメンのことは原則的に書くのを止めようと決意した次第であります。

 このようなラーメンへの思いはあるものの、正直、これまで出会ったラーメンで、何度も食べに出かけたり、この味を盗みたいとおもった店も当然にある。それらは、ラーメンとは何ぞやのきもちの整理がついたら、そのうちに整理をして公開してみたいと思う。

●追記:ただ正直に書くと、週刊朝日に連載中の「魂のラーメン」に紹介された最初の頃のラーメンは、紹介する記事のほとんどにさすがだなあと感心をしてしまった。この作者は、きっと、ぼくが追い求めるラーメンの味との共通項がある方なんだと、実は記名にある小野さんのファンになってしまったりもして、けっこうの数の店の追体験を実行している(10軒ぐらいだが。最近は、ちょっといただけない店もけっこう「うまい」ジャンルとして掲載されてしまっているきがする)。

 かえって、ラーメンの近いようで遠いハトコぐらいの親戚である「担担麺」という特化した情報の蓄積を開始し、着々と探検回数を増やしつつあります。もともとラー油や芝麻醤、豆板醤など香味油や中華調味料に興味があって、こちら側からアタックをして、ラーメンの悩み解決への糸口をつかもうと思っている。目標30軒達成のあかつきには、「担担麺探検記」を公表するつもりでありますから、期待せずに待っていてください。

味探検で原則ラーメンを扱わないゴタクとイイワケでした。

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