味探検 江戸前シリーズ 19(東京新聞1997年6月5日首都圏情報ゆめぽっけ掲載) 

浅草・紀文寿司(きぶんずし)

香りが命の夏アナゴ

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 「江戸前のネタには香りがある」と関谷文吉さん。明治36年創業の「紀文寿司」4代目主人。「魚味礼讚」という本の著者でもある関谷さんが説く魚介類の「香り」とはどういうものなのか、以前から気になっていた。

 6月の声を聞くと入荷量も増えてくるアナゴ。「羽田沖から金沢八景の東京湾奥でとれたものは他のものとはぜんぜん違う」という。
 神奈川県金沢区の通称小柴漁港で水揚げされたアナゴをさばきながら、「口にいれると、ほんのりと柔らかな甘さ、残り香といったらいいでしょうか。ほら、むかし初めておいしいものを食べさせてもらったときの感じですよ」と関谷さん。

 小柴のシャコも卵をもってこれから旬に入る。「子持ちワタリガニを口に含んだときの幸せな味わい」と同じ香りが小柴のシャコにはあるという。
 関谷さんにとって、香りある魚の産地こそが「江戸前」なのである。アナゴ、シャコに煮ハマグリ(各1かん500円、650円、450円)を、関谷流に「きゅう覚」で食べてみた。ホンモノに対してバチゲエ(場違い)という東京弁の言葉があるが、まだエドメエ(江戸前)がしっかりと残っていたことを納得する。味わい方の再発見とでもいおうか。
 ご主人が、その日ごとによりすぐったネタで握る3400円(8かん)コースがお勧め。 (中島 満)

 

「紀文寿司」メモ

台東区浅草1−17−10。地下鉄浅草駅下車。雷門をくぐり仲見世の1本目の柳小路を左折、50m先の左角。雷門から歩き2分。(電)03・3841・0984。昼正午〜2時、夜5時〜9時。日曜祭日は正午から7時営業。カウンター25席、テーブル20席。水曜定休日。

取材メモ  関谷文吉さんの『魚味礼賛』(1996年、中央公論社。中公文庫あり。)は魚好きにはぜひ一読を勧める。味わい方の再発見と、記事に書いたが、旬の鮮度のこと、そして、とくに、魚の内臓や、卵巣についての味わい方についての既成概念を崩してくれる。

同書に続けて、二冊目の『魚は香りだ』が同じ中央公論社から1999年に出ている。

注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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