味探検 江戸前シリーズ 49(東京新聞1998年1月8日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

築地・かねはん

肝が命のドンコ料理、新聞紙の包み焼き

 築地市場に入荷する水産物には、皆が食べたいと思う陽の当たる本道をゆく魚もいれば、無名故に通人の胃袋だけに消えてゆく魚もいる。「こいつを食ってみなよ」と日本橋に魚河岸があったころからの仲卸し業者カネハン3代目渡辺弘さん、一押しの魚が冬魚のドンコ。アイナメの遠縁でタラの仲間、エゾイソアイナメともいうそうだ。
 漁師料理のドンコ汁として知られる。凍み豆腐をいれて醤油で味をつけただけだが、肝のうま味が加わり絶品のポカポカ汁(2人前1500円)となる。渡辺さん自慢のドンコ料理に新聞紙の包み焼きがある。「この魚は肝が命。そのまま焼くと肝が破裂し口から全部溶け出てしまう。エラから口の部分に新聞紙を巻き付けて焼く。これが姿焼きの極意」とのこと。丁寧に新聞紙をはがし、腹皮をスプーンでそぎ肝だけを小皿に取り出す。蒸し焼き状の肝に醤油を加えた特性タレを付けて食べる。このドンコ焼き1尾1500円だが、すべてご主人が目の前でタレを作って出してくれる。イキがよければ刺し身もいける。来シーズンが待ち遠しくなるドンコ尽しである。「子供の手も離れ肩のこらない魚料理を出したい」と、奥さんの亨子さんが6年前出店。早朝河岸で本業を終えた弘さん。一眠りして夕方うまい魚目当てに来店する客の接待役が待っている。(中島満)

「かねはん」メモ

 中央区築地6ノ7ノ9。地下鉄日比谷線築地駅下車晴海通り築地6丁目交差点左折50メートルほど先左手。(電)03・3545・5337。カウンター9席、座敷8席、テーブル6席。営業時間昼10時30分−後2時、夜後4時30分−10時。定休土・日曜祭日。

取材メモ  取材時(築地6丁目交差点左折50メートルほど先右手右手)から店舗が通りをはさんだ向かい側(築地6丁目交差点左折50メートルほど先左手―こちらが正解)に移転しているので注意してください。

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