海って誰のものだろう?――002

 

熊本県・川辺川ダム

漁業権の強制収用への疑問

 

――「共同漁業権の土地収用法に基づく収用事例はこれまでなぜ一度もなかったのか」についてのサイト主催者“MANA”によるメモ2002年1月5日)――


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も・く・じ

 

1 球磨川漁協の2度の補償交渉否決と国土交通省の漁業権の強制収用申請について

2 漁業権の強制収用にはどんな問題が潜んでいるのか

3 土地収用法で収用した水面の取り扱いについて――漁業権と土地収用法

4 漁業権の正当なる補償手続きを経ずに漁業権の侵害となる公共事業はすすめられない

資料1熊本一規明治学院大学教授の「共同漁業権の一部収用が不可能なことについて」の見解

資料2浜本幸生講演原稿「現行の漁業調整制度が果たしている役割」(1998年4月講演「河川開発事業に伴う漁業関係調査」から抜粋)[漁業権を消滅させることに伴う重大な負の事態 

資料3熊本一規著『公共事業はどこが間違っているのか?』(2000年。まな出版企画)より [強制収用は漁業者の首をしめる][一部収用も一部放棄もできない]

 球磨川漁協の2度の補償交渉否決と国土交通省の漁業権の強制収用申請について

 36年前(1976年)に建設省(国土交通省)によって計画発表された洪水等防災の治水や灌漑、発電を目的とした川辺川ダム建設事業は、本体着工のための最後に残された球磨川漁業協同組合との漁業補償交渉が、二度否決にあい、国土交通省は、2001年12月18日、漁業権の強制収用裁決をもとめて熊本県収用委員会に申請手続きを取った。

 ○2001年2月 球磨川漁業協同組合総代において建設省から提示された漁業補償の受け入れを3分の2以上の賛成票がなく否決。

 ○同年11月 球磨川漁業協同組合臨時総会において漁業補償受け入れを3分の2以上の賛成票なく否決。

 漁業権の強制収用申請にいたる経緯については、各新聞が報じているが、熊本日々新聞2001年12月19日付記事では、次のように報じている。

●熊本日々新聞より

漁業権収用を申請 国単独事業で初、国交省

 国土交通省が進めている川辺川ダム建設事業で、同省九州地方整備局(福岡市)は18日、土地収用法に基づき、球磨川漁協の漁業権などを強制収用するため、県収用委員会(塚本侃会長、7人)に裁決申請した。国単独のダム事業で、漁業権を消滅させる収用裁決申請は初めて。計画発表から36年目を迎え、同ダムは本体着工に動き出したが、国の強硬手段へ反発が強まっている。

 同整備局は、収用委の審理中はダム本体工事を発注しない方針。2年連続延期している本体工事の年度内着工について、会見した望月達也・河川部長は「非常に厳しい。(事業計画の)平成20年度の完成はほとんど不可能」と工期の延長を示唆した。事業計画変更については「今は見込みの段階。工期が固まった時点で検討する」とした。

 裁決申請した漁業権のうち、収用(権利消滅)対象が川辺川ダムと副ダム(五木ダム)堤防を含む上流計1.3キロの約9ヘクタール。使用(同制限)対象が本体下流の立ち入り制限区域100メートルと、ダム上流の最長約14キロにわたる本・支流のダム湖部分計81ヘクタール。土地は相続人不明の球磨郡五木村の約5000平方メートルと、相良村の約1300平方メートルの2件。

 同整備局の担当者が同日午後、熊本市の県庁を訪れ、県収用委事務局に申請書などを提出した。

 漁業権収用に対する補償額は公表していないが、同漁協との交渉で提示した補償額約16億5000万円のうち、消滅・制限分約5億5000万円を申請したとみられる。工事などに伴う影響補償(約11億円)については任意交渉で決める方針。

 県収用委は25日に委員会を開くが、書類などの確認が終われば申請を受理。当該市町村で公告・縦覧した後、1月に手続き開始を決める。通例に従えば委員会は月1回開かれ、関係者の意見聴取や現地調査などを行い、半年ほどで裁決する見通し。

  また、国土交通省が、同年1211日に扇大臣の了承を取りつけて、漁業権の強制収用を行う決定をし、同日記者会見をもとにした同月12日付け朝日新聞記事では、次のように報じている。

 ●朝日新聞記事より

川辺川ダム漁業権収用申請へ――是非巡り揺れる地元――認定されれば国内初

 

「強制収用の裁決申請をしたい」

 国土交通省九州地方整備局の望月達也河川部長は11日午前、訪韓する扇千影国交相を成田空港で待った。正午すぎ、現れた扇国交相に、一晩で作り上げた8ページの資料を差し出した。

 その場で許可をもらうと、整備局はすぐに報道機関に同じ資料をファクスした。

 同省は99年度に川辺川ダムの本体着工予算を計上後、2年間繰り越し。

 本体着工に必要な漁業権が獲得できず、強制収用を視野に入れ、事業認定を昨年末に受けていた。

 今年11月末、球磨川漁脇の臨時総会で否決後、国の動きは早かった。江頭和彦・同整備局長自ら、潮谷義子熊本県知事の頭越しに球磨川流域の19市町村長の大半を訪ね、強制収用の同意を取り付けた。県が129日に住民集会を開くと、幹部が必要性を繰り返し主張、「説明責任を果たした」と位置つけた。

 ある国交省幹部は「7割の工事が済んでいるのに今さら、止められるわけがない」。

 漁業権の収用申請後、どんなシナリオが考えられるのか。川辺川ダムで、漁業権の収用が認められれば、国内初だ。

 県収用委では、ダム建設により周辺の漁業権が消滅したり、漁に支障が出たりすることへの補償が話し合われる。

 球磨川漁協との任意交渉の段階で、国は約165千万円の補償額を提示。このうち約55千万円は消滅・制限に対するもので、残り約11億円は、水の汚濁や水温変化などの影響補償を盛り込んだものだった。

 ダム容認派が多数を占める漁協執行部は「強制収用なら影響補償分がもらえず、補償額は3分の1になる」としていた。

 国はあいまいな対応を続けていたが、最近は県収用委の審理とは別に、影響補償の任意交渉に応じる姿勢を示している。

 漁業権が土地収用法の、対象になったのは過去2例あるが、高知県の桐見ダムでは県が申請後、地元漁協と和解。熊本県の市房ダムでは水面を強制的に使用する裁決が出たが、和解している。収用委が和解勧告をすることもある。だが、漁協との交渉にかかわった国交省員は「2度も補償案を否決したのにまとまるわけない」と懐疑的だ。

 和解がなければそのまま収用の裁決が出る。国側はダム本体周辺の漁業権を「収用」するとしているが、漁業権に詳しい学者は「本体周辺に限つた権利の一部収用は不可能」と主張する。

 江頭局長は11日の記者会見で「裁決まで発注も着工もしない」と断言した。審理期間などを考慮すると来秋になる可能性が高い。しかし、国交省河川局幹部は、先行発注して今年度内に着工する望みを捨てていない。

  住民の声届かぬ面も

  この間、五木、相良両村が8年間の裁判闘争の末、96年に本体着工に同意。

最後に残った法的手続きが漁業補償だ。

 流域の人吉市と坂本村では今夏、ダムの是非を問う住民投票条例を目差す市民運動が起きたが、両議会とも1票差で否決。意見は割れている。

 それでも流域の19市町村長は今月初め、国交省にダムの早期着工を申し入れた。

 一万、県建設業協会の地元支部が9月に会員企業に行った調査では、00年度の工事受注額の8割が公共事業。その大半をダム関連が占めた。

 「工事で残すはダム本体だけ。今やめたら、投入した金の責任問題になる」と国交省の河川局幹部。別の幹部も「首長の意見が住民の声を十分反映していない面があるとしても、選挙で選ばれた事実は重い」と話す。

 潮谷県知事は裁決申請決定について「国がされること。分かりました、という一言。問題はこれで解決ではない。国はまだ説明していく必要がある」と述べた。

 川辺川ダム事業 熊本県五木、相良両村に総貯水容量13300万トンのアーチ式コンクリートダムを造る。治水、利水、発電を目的に、08年度の完成をめざす。総事叢書は2650億円。66年に計画発表され、約7割の工事が進んでいるが、本体は未着工。

 ダム計画には治水、利水、環境の各面で疑問や批判の声がある。〈以下略〉(熊本支局、社会部)

 県収用委員会は、2001年12月25日、国土交通省九州地方整備局の強制収用裁決申請を受理した。地元相良、五木両村での公告及び縦覧をへて、2002年1月29日に裁決手続きが始まり、翌月2月27日から審理に入る見通しとなっている。

もくじ▲

 漁業権の強制収用にはどんな問題が潜んでいるか

 この2つの記事にあるように、国による漁業権の強制収用の裁決を県の収用委員会に申請した事例は、実質はじめてとなる。この「はじめて」というのは、どういう意味なのか考えることから、漁業権の強制収用とはどのようなことを意味するものなのかについて、関連事項の整理と私見をのべてみることにしたい。

つまり、これまで、なぜ海面や河川にある漁業権を強制収用しなかった、あるいはできなかったのか、ということである。

 幾つかの疑問があるので、それを冒頭の問題の提起にしておこう。

 まず、国土交通省は、関連水面に免許された共同漁業権を強制収用すれば、その収用済み水面を国が収用目的のために工事に着手したり、その水面を排他的に使用できるようになると思いこんでいるフシがあるが、はたしてそういう性格のものであろうか、という疑問である。

 共同漁業権の世界で考えていけば、国土交通省が申請した「漁業権の強制収用」は、土地収用法や補償関連規定など同省管轄の法律に定められた規定に則って合法的に手続きされているにすぎないものであって、合法的に収用しても、収用した水面は、国土交通省が自由にできる水面になるわけではないということについて考えてみたい。つまり、その水面ではあいかわらず昔から続けてきた漁業もちゃんとできるし、かりに収用されたとしてもしても、補償交渉が決着していない以上工事に着手することなどできないのだから、工事が行われないあいだ収用済み水面で、免許申請が行われれば県知事はそれを受理して免許しなければいけないという場面も生じてくる。これが漁業法ののちに示す第1条の精神である。

そもそも、強制収用の裁決のある無しに関係なく、基本的に全員の合意に基づいた補償金の受諾事実をともなう建設省と関係漁業者集団(この場合は球磨川漁協)との漁業補償合意手続きなくして、ダム本体着工にはかかれないことは、公有水面埋立法に通じた国土交通省が、知らぬはずはないのに、なぜいまさら強制収用する意味があるのか、という第2の疑問が生じてくる。

 そして、成田空港建設に際しての反対派拠点の塔・小屋や、戦後間近に起こった大分・熊本県の松原・下筌ダム建設の反対派拠点となった「蜂の巣城」、その他の建造物と土地を土地収用法に基づき強制収用手続きによって撤去したことがあるが、このばあいの事例と漁業権の強制収用と同じように考えている人が、行政にもあるいは地元交渉当事者にもいるようなのだが、はたしてそうであろうか、という疑問である。漁業権は排他的に漁業を営むことを保障された権利であって、土地のようにダム関係水域だけを分筆して分割して収用できる性格のものなのであろうかという疑問も湧いてくる。

 海面の場合の公有水面埋立法も、基本的に権利者(法律で漁業権や排水権等が定められています)の全員の同意、すなわち漁業補償金の受領の事実後に埋立工事着工ができるのであって、法律のどこにも「漁業権の放棄」を求めていないことは周知の事実である。つまり、土地収用法についていえば、法律の所定手続きによって漁業権も収用できることになっているが、ただ法律にそう書かれているに過ぎないのであって、漁業権を収用したとしても、補償交渉成立の事実関係になんの影響を及ぼすものではないのであるから、漁業法の法律の目的や運用の例規にはそぐわない漁業権の強制収用など、そもそもするべきではないのである。

 さらに、土地収用法に規定された「公益」の意味と、漁業法の運用手続きにおける、漁業権を消滅させたり変更させたりする場合の「公益」との関係についてもきちんと整理をしておく必要がありはしないだろうか、という疑問もでてくる。

 これらの疑問に対して、すべての回答がきちんと揃い、行政間の調整もきちんとすませ、そして、そのうえでクリアされた漁業権の強制収用がはたしてなされるのだろうか。熊本県知事が、「国土交通省は県民・国民への説明義務を果たすべき」ということは、漁業権の免許をする知事としての注文でもあることはいうまでもないことだ。

 つまり、漁業権のもつ法律的な効能、そして補償原理の背景をもってすると、国土交通省ならずとも、公権力によって漁業権の収用事例が生れなかったと考えるのが、私の考えです。

 2002年の年明け段階では、水産庁にたいして、国土交通省から、強制収用裁決に対しての意見書や漁業法の運用解釈に関しての照会はいまだ来ていないようである。水産庁長官が川辺川問題で国会答弁したとの報道を読んだが、正確に理解しての質問の内容であったかどうかによっても、答弁の意味を検討しなければいけないわけで、それらの質問と答弁経緯の事実を知らず、未確認のまま論評できないので、いまは、その良し悪しの判断などできません。

 ただ、あとで書きますが、水産庁は、漁業権の強制収用に関していえば、漁業法1条の法の目的、漁業法11条(漁場計画の樹立についての条項)と漁業法39条の公益上の必要による漁業権の変更、取り消し、またはその行使の停止についての条項について、従来からの判断を述べることができるに過ぎないのだと私は考えています。

 熊本一規先生のコメント資料―1にあるように、水産庁とて国土交通省の判断とは一線を隠しているはずです。今回新しい判断をしたり、漁業法の運用解釈の変更が行われるような新しく考慮する条件があるとも思えない(勝手な推測にしかすぎないが)。このようなことを考えると、国土交通省による土地収用法にもとづく漁業権収用裁決申請は、けっして伝家の宝刀を抜いたというような、かっこいいものではなく、ナマクラガタナ程度のような気がしてならない。

 現在の、球磨川漁協の組合員のなかでダム建設補償受け入れ拒否の姿勢を貫いていけば、やがて行わざるを得なくなる総会や総代会でも、補償交渉受諾はおそらくないであろう。このほかにも、国土交通省が可能と判断しているという、漁業権の一部収用について考えてみても、結果的に一括して免許された漁業権の変更免許手続きを経なければならず、その際の漁場計画の樹立にあたって県知事がそれを行うこととなるなど、強制収用後クリアしなければいけない手続きは前述した条件だけではないのである。

 それでは、現在の熊本県潮谷知事が、仮に、漁業権変更免許にさいしての漁場計画樹立を強行(これは知事としての公約違反に匹敵するだろう)し、漁業権の一部収用をおこなったとしても、収用を行ったに過ぎないだけで、補償契約が終了していない段階で、埋立と同様にダム本体建設工事に着手はできないのである。

 もし行われれば漁業制度創設以来初めてとなる漁業権の強制収用は、これまでなぜ行われなかったのかについて、ただ適合条件にあった事業がなかったのではないことは、以上の疑問点をみただけでもおわかりいただけるのではないだろうか。

 つまりクリアしなければいけない条件を合法的に、あるいは、場合によっては、国民や漁民が行政の手続きが複雑でわからないことをいいことに脱法行為をしてクリアしたかとおもったら、またクリアしなければいけない条件があらわれるという漁業権がもつ権利の重さ、深さがあることを幾分かは示せたのではないだろうか。

 これまで熊本日々新聞や全国紙地方版の記事や、川辺川ダム工事建設に反対する市民や漁民たちが主催しているホームページやML=メーリングリスト「Wetland2」等の参加者の発言を読んでいて、川辺川ダム工事建設をめぐる漁業権収用問題の漁業権のもつ意味や力から論じられた記事も発言は、私の知る限りでは、熊本一規明治学院大学教授の漁業法専門家としてのコメント<資料―1資料―3>以外には、みあたらない。

 熊本先生の文章が正確さをきすこともあって、漁業権の性格や手続きについては多少難解とならざるを得ないこともあり、どこに問題点があるかを、ズバリとわかるような文章があっても良いのではと考えたのである。私はけっして法律の専門家ではないが、熊本一規著「公共事業はどこが間違っているのか?」や漁業権関係の本の編集にタッチし、フリーライターとして漁業現場の取材をしてきたものとして、基本的な漁業権関連資料とともに、前記疑問点への自分なりのメモを整理して、提示しておくことにしたのである。

 法律の実務家でも専門家でもないため、法律の解釈や引用の不適切な部分があるかもしれないが、本問題の核心には、触れたつもりである。ぜひ、強制収用問題にからみ漁業権の秘めた底力があることに気付かれ、関係諸方面の方々に、論議の輪を広げていただければ、「MANAしんぶん」主催者としてこれほどありがたいことはない。

もくじ▲

 土地収用法で収用した水面の取り扱いについて

――漁業権と土地収用法―― 

(1)漁業法は漁業生産力を発展させるための制度

 漁業法は、漁業法第1条によって、「漁業生産に関する基本的制度」を定めている。もう少し具体的に言えば、漁場の利用関係、すなわち、漁場を誰に、どう使わせるか、そしてそれを誰がとり決めるか、を定める制度である。

 そして、もうひとつ、漁業法、漁業権を理解するときに、とても重要な点として、第1条で法の目的について触れていて、漁業法は「水面を総合的に利用し、もって漁業生産力を発展させるため」にある法律であるとはっきりと書いている。この点は、以下の条項に触れるときにもポイントになる部分なので記憶しておいてほしい。

 この意味は、どういうことだろう。土地の場合であれば、区画した土地を私権者が個々に利用したり、私権者の同意のもとに、区画された土地の利用を図るような、単一的あるいは平面的、個々の1対1の契約で、利用したり権利の移行が可能であったりする。しかし、漁業法による漁場利用は、同一の水面を立体的に、あるいは重複して利用されたり、地区所属漁業者が一体となって管理利用するといった多種多様な漁業が同時に存在する。

 そして、この第1条の「漁業生産力の発展」という目的に逆行する、あるいはそぐわない、漁業を止めてしまうような漁場利用については、適用される制度ではないという点を理解しておく必要があろうと思う。

 それからもう1点、私見を述べさせてもらうと、こういう漁業法第1条の目的の傘のもとにある漁業権の利用や漁場の利用について、土地収用法は漁業法の目的にそぐわない利用の制限をしている法律であるということからすると、仮に国土交通省が強制収用によって漁業権を収用したときには、「国土交通省」と収用した「漁業権」との関係については、漁業法上からすると、国土交通省が漁業を営む関係になるのだろうか、そうでなければどういう関係なのだ、という疑問が生じはしないだろうか。

 つまり、国土交通省が、漁業権を「収」めて「用」いるとすれば、その用い方について、ただ「公益」だからというのではなく、漁業法の目的との整合性をもそなえた明らかな説明をする義務があるのではないか、と思うのである。

  (2)漁業権は計画的に免許される――漁場計画の樹立

   先に述べた、熊本先生の資料―1にも触れてあるとおり、漁業法11条において、漁業権は、都道府県知事の免許によって設定され(第10条)、知事はあらかじめ免許するにあたって、漁業種類、漁場の位置、区域などを決定して公示しなければならない。これが知事の「漁場計画の樹立」義務です。

   (3)第1条の漁業生産力の発展のための漁場計画の樹立、およびそれに関連して土地収用法によって収用された収用済み海面について

   さて、ここで、土地収用法によって収用された漁業権と、収用済みのその漁業権のあった水面について考えてみることにしよう。よく、「海は誰のものか?」という議論が起こるが、それなら「収用済み海面は誰のものか?」という問いがあってもおかしくはない。

 これは、広い意味では、公有水面埋立法との関係で、海面や河川の水面について漁業補償の済んだ「補償済み海面」の場合も同じように考えることができます。

 水産庁で永年漁業法と漁業補償の担当部署にいて「漁業法の神様」とまでいわれた浜本幸生さんは、土地収用法との関係で収用された漁業権について、(1)、(2)及び漁場計画の樹立の基本原則に則って、次のように書いている。

  ○浜本幸生著『漁業法の哲学』(1988年)

――「@〈前略〉土地収用法との関係で収用された漁業権についても水面が空いていたら漁業権を免許するというのが、長官通達の本文〔「農林省が行う干拓事業と漁場計画との調整について」昭和38年2月25日水産庁長官〕にあります。この考え方は、漁業権の免許というものは、漁業法第11条に免許すべき基準、及び免許してはならない基準が書いてあり、これ以外には、漁業権の免許の基準はないわけです。まずそれが重要な点です。

 A農林省の干拓事業との調整あるいは土地収用法で収用した水面の取り扱い、これは皆、補償が済んだ水面の問題です。土地収用法というのは、「正当な補償のもとに私権を公共の目的に遣う」という、憲法29条第3項の規定を具現するために作られた法律で、土地収用法の発動があったというのは、すなわち、補償がなされたということになるわけです。

 Bこのような水面でも、水面として空いておれば、漁業権を免許して、その水面の総合的高度利用による漁業生産力の発展を図るというのが、漁業法の目的なのです。

もうひとつ、漁業法第11条の漁場計画の樹立義務、免許義務によって、総合的高度利用ができる水面が残っているときに、免許すべきであるにかかわらず漁場計画を立てないときは、それは、立てないのは違法ではないか、という問題になるわけです。」

 

○浜本講演メモ「河川開発事業に伴う漁業関係調査」(1998年)――「漁場計画の樹立」の基準(漁業法11条第1項)

 

――「都道府県知事は、その管轄に属する水面の「漁業上の総合利用を図り、漁業生産力を維持発展させるためには漁業権の内容たる漁業の免許をする必要があり、かつ、当該漁業の免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるとき」は、かならず、漁場計画を樹立しなければならない(漁業法第11条第1項)。

 したがって、公益事業の用に供するものとして土地収用法によって漁業権が収用された水面、又は農林水産省の干拓事業のために農地法第56条に基づいて漁業権を消滅させた水面であっても、工事が相当期間行われないときは、その事業を実施する国の機関等と協議のうえ、当該水面について漁場計画を樹立し、漁業権を免許することとされている(昭和47年8月7日付け水産庁長官通達)。」

 土地収用法と収用しようとする漁業権との関係には、こういう関係が存在するということを確認することができます。ただ、この文章は、川辺川ダム建設をすすめる国土交通省が行おうとしている強制収用の場合にすべてあてはまるかということについてまで、私には判断できないのだが、「基本的関係」においては、ここに書いてあるとおりである。このもつ意味を一つ一つ検証してみる必要があるとおもう。

 現実の行政間の調整では、国土交通省が合法的かつ「公益」性から土地収用法が適用されて強制収容されてしまえば、法手続き上の「公益」性に異を唱えることはできないのかもしれない。しかし、国土交通省では、漁業権を収用することによって、そのあと、国土交通省の思い通りに建設を着工できると思いこんでいるのかもしれないが、収用済み海面の法律上の性格は、そう簡単なものではなさそうである。

 たとえば、漁業権の収用後の水面で、その後、漁業権放棄済み水面と同じように、漁業権がなくなり「誰のものでもない」いわゆる公共用水面であり続けるとするとどうなるか。ダム建設によってダム構造物以外にはその上流と下流には、漁場として利用可能な水面が残るはずである。

 しかし、そこは漁業法の適用できない水面になってしまっている。

 もちろん、従来からの漁業者が漁業権に基づかなくても漁業も行えるし、一般の釣り客や水面利用者も進入可能となり、乱獲や密漁や不法操業に匹敵するような不埒な行動を行うやからが出没しても、漁業法によって取り締まったり、漁業権の力による管理利用ルールを定めることのできない、いわば、無法地帯のような水面として残ってしまう。

 収用して、当該水面について排他的な権利を手にしたつもりでいる国土交通省にとってみると、管理利用や取締りについてのなんの権限も持ち得ないの存在であることになって、国民や関係者から無法水面を作り出した責任を問われるのは、収用したその当事者であることに、そのとき気付いてもすでに遅いのである。

 漁業権(共同漁業権)の一部収用もできないだけでなく、仮に漁業法の精神を無視したり、法のすり抜けの術を使って収用を強行したとしても、それがなんにも効果を発揮することができないのだから、総会において地元漁協の総意を取り付けられない現状で、強制収用など意味ないばかりか、憲法の財産権の保護規定にもふれることになる決定など、すべきではないのです。

(4)土地収用法による公益目的の事業のための漁業権の収用について

 それでは、土地収用法における漁業権の収用とはどういう意味を持つのでしょうか。漁業権の権利を消滅させたり制限をするときには、公益事業ということばや、公益目的ということがうたわれますが、その「公益」については、土地収用法が考える「公益」と、漁業法の制度において想定をしている「公益」について、何か違いがあるのかの確認をしておきます。

 まず、大原則の点に立ち戻って、公共事業をすすめる時に、あらかじめ漁業権者の同意を取りつけるのはなぜでしょうか。あたりまえではないか、といわれそうですが、漁業権と土地とをまったく同じに考えている人も多いので、触れておきます。前述引用をした、浜本幸生さんの講演メモから抜粋しておきます。

○浜本講演メモ「河川開発事業に伴う漁業関係調査」(1998年)

――「1 漁業権は、「物権」とみなされている。(漁業法第23条第1項)〈説明略〉

   2 「物権」たる漁業権は、誰に対しても権利を主張できる。〈説明略〉

   3 公共事業の実施に伴い、あらかじめ関係の漁業権者の同意を得ておく趣旨について=漁業権者の中には、「漁業権は物権であるから、公共事業を実施するにも漁業権者の同意が必要である。」と考えている者がいるようである。しかし、「物権」たる漁業権は、債務者の行為を必要とする「債権」とは異なり、権利者の同意を取りに来いと請求する権利ではないのであるから、それはおそらく、埋立免許に当たっては漁業権者の同意を要するという公有水面埋立法の規定から生じている誤解であろう。

 公共事業を実施する場合には、あらかじめ、漁業権者の同意を得ておく方法が一般にとられている。その趣旨は、前述のように漁業権は物権とみなされて誰に対しても権利を主張するものであるから、公共事業の実施による場合でも漁業権を侵害しないという義務が存在する。そのために、侵害の発生を受忍する内容の同意をあらかじめ得ておくという趣旨である。

 そして、このような侵害の発生を受忍するとの漁業権者の同意を得るにあたっては、漁業権者側との間に「漁業補償契約」を締結して、発生するであろう損害を予測して補償するのが通常である。

 ここでは、浜本さんは「公共事業の実施による場合でも漁業権を侵害しないという義務」の存在について明確に書いている。意外にも、こういうあたりまえのことを、ちゃんといえる専門家の人が少ないと思いませんか。浜本さんは、行政官でしたが、こういう漁業者にとっては百人力となる法律的な性格や解釈を正確に語る人でした。

 熊本一規著『公共事業はどこが間違っているのか?』(まな出版企画)の出版意図は、平成元年最高裁判決批判のわかりやすい解説版であるとともに、漁業権や入会権といった地域の総有的権利を侵害して事業を進めようとする公共事業についてチェックを入れるという目的があったのだ。

 次に、土地収用法における「公益」と、漁業法における「公益」について整理をしてみたい。

 浜本幸生さんのたくさんの記述の中から、比較的わかりやすくまとめてある次の文章を引用する。

  ○浜本幸生講演原稿「河川開発事業に伴う漁業関係調査」(1998年) ―「A公共事業と漁業権との制度上の調整について」より

1 「土地収用法」による公益事業のための漁業権、入漁権の収用

 

(1)漁業権、入漁権の収用又は使用

 土地収用法第5条(権利の収用又は使用)第3項は、「土地、河川の敷地、海底又は流水、海水その他の水を同法第3条各号の一に規定する事業の用に供するため、これらのものに関係のある漁業権及び入漁権を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、これらの権利を収用し、又は使用することはできる。」と、規定している。

 

(2)漁業権、入漁権の収用の意義について

 この土地収用法第5条第3項に規定する漁業権、入漁権その他水を利用する権利は、土地所有権や地上権、抵当権等の権利とは異なり、一見土地収用とは無縁のようであるが、実際問題として一定の地域を占拠して公益事業を遂行する必要のある場合には、この種の権利の存在が事業遂行の妨げとなることが多いので、その権利を消滅させ又は制限する途を開いたものである(高田賢造・国宗正義「土地収用法」52頁)。

 したがって、同法第3条各号の一に規定する公益事業については、漁業権者又は入漁権者との事業の実施についての協議が調わない場合には、同法の規定により、当該漁業権又は入漁権を消滅させ又は制限することができるのである。

 

(3)漁業権、入漁権の部分的な消滅又は制限は、できない

 ただし、実際に土地収用法を発動して、漁業権又は入漁権を消滅させ又は制限した例はないようである。

 それは、土地収用法は伝家の宝刀であって、強権の発動を潔しとしないとする事業主体側の姿勢があるが、それよりも、同法第5条第3項の規定による権利の収用又は使用は、1個の権利を対象とするものである。したがって、権利を分割して部分的に消滅させ又は制限すること――例えば、漁業権のうち、ダムの区域の部分だけの権利を消滅させること――ができないことに、原因があると思われる。

 この場合の1個の権利は、1筆の土地と同じであると考えてよい。もし、部分的な収用が必要であれば、収用手続前に、土地の分筆と同様に、権利の分割の手続きをすませておくほかはない。

〈以下略〉

(1998年4月。公共用地補償機構主催講演会の浜本幸生講演原稿より抜粋)

  (1)および(2)は、必要とあらば漁業権の収容はできるが、(3)において、その実例はない、と浜本さんは書いている。

 そして、すでにその理由を書いたように、「権利を分割して部分的に消滅させ又は制限すること――例えば、漁業権のうち、ダムの区域の部分だけの権利を消滅させること――ができないことに、原因がある」ことを指摘している。つまり、漁業権の一部収用をすることができないことを、このように書いているのである。

 最後の「権利の分割の手続き」をすますためには、すでに書いた漁業法11条の漁場計画の樹立の原則に立ち戻り、さらに漁業法39条の「漁業権の取り消しや変更」をする条件が満たされた場合に、漁業法第22条の「漁業権の分割又は変更」の規定に基づいて、都道府県知事に申請し、漁業権の変更免許を受けなければいけないのである。この漁業法第11条および第22条の規定について、熊本コメントに補充する意味から、浜本幸生さんの文章も<資料―2>として載せておくことにする。

そして、また、水産庁としても、漁業権の取り消しをするための「公益上の必要性」については、次のように「限定的に考えるべきである」と、漁業法第1条の目的に添わない事業についての運用について一定の足かせをはめている点に注目する必要があるだろう。

この公益について考えるときに参考となる水産庁の漁政部長回答文書が、次の文書であり、引用しておきたい。

○水産庁監修『漁業制度例規集』(1997年)

「漁業法第三十九条の規定の運用等について

照会(38.8.15.港第727号 熊本県土木部長)

本県管理水俣港は、昭和31年5月1日開港となり、昭和35年6月9日政令第154号をもって重要港湾に指定されたが、このことについて当該港湾区域の全域を含む水域に共同漁業権を有する地元M漁業協同組合から県に対し、「水俣港が重要港湾に指定され、又港湾施設が整備充実されるため、船舶の航行が頻繁になって殆んど操業不能となり、実質的に漁業権の行使ができなくなった。よって、知事は、漁業法第39条第1項の規定によって漁業権を取り消すべきであり、これによって生ずる被害については、当然同法同条第5項の規定により補償がなさるべきである。」 という要求がなされています。

本件について、この要求と漁業法第39条の規定に関し、左記の点について何分の御教示力お願いします。

        記

1 「船舶の航行、てい泊及びけい留等公益上必要なため」漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を行なった事例があるかどうか。

 又「公益上必要」とは、どのような基準で判断すべきものであるか。

2 漁業権を取り消した場合等によって生ずる損害の補償は、政府が行なうものとされているが、上記一の事由に基いて政府補償を行なった事例があるかどうか。

又政府補償の事例の有無は別として、一般的に政府補償の措置について具体的な実施が考えられているか。

 

回答(38101838-336 漁政部長)

 

1 漁業法第39条第1項の規定に基づく漁業権の取消し等の事例及びこれに伴う同条第5項の規定に基づく政府補償の事例としては、次のものがある。

(1)兵庫県神戸港内漁業権に関するもの

   対象漁業権番号     共第517号及び共第518(取消し)

               共第10号及び共第11(変更)

   取消し及び変更年月日  昭和27年8月18

   政府補償金       20,433千円

(2)香川県坂出港内漁業権に関するもの

   対象漁業権番号     共第75(取消し)

               共第21号及び共第41(変更)

   取消し及び変更年月日  昭和2712月1日

   政府補償金       10,257千円

 

2 漁業法第39条にいう「公益上必要がある」ということの判断基準については、次のように解する。

(1) まず「公益」の範囲については、これを限定的に考えるべきであり、漁業者の不安をもたらすような不当な解釈運用をさけなければならないことはいうまでもない。即ち、ここでいう公益とは、受益者が不特定多数に及ぶ利益であり、第39条第1項に例示する事項のほか土地収用法又は住宅地区改良法等土地収用に関する特別法により土地を収用し、又は使用することができる事業の用に供する場合は公益に該当するが、単なる工場誘致のための埋立であって土地収用法等の対象とならない事業の用に供する場合等はここにいう公益に該当しないと解する。

(2)次に、以上のような「公益」に形式的に一応該当する場合であっても第39条適用の「必要性」の有無については、これを限定的に考えるべきである。というのは、本来補償というものは、事業者と被補償者間における交渉の問題として、当事者間で解決(事業者からの補償金の交付―被補償者の漁業権の放棄等)されるのが建前であるからである。従って第39条の適用については、当該公益の重要度、その緊急度、漁業との関連、当事者間の交渉によって解決の困難性等を具体的にかつ慎重に検討の上、その適用の必要性の有無を判断すべきものと考える。

 

3 「一般的に政府補償の措置について具体的な実施が考えられているか」との諮問の趣旨は必ずしも明確ではないが、2の判断基準に従って都道府県知事が行なった漁業権の取消し等により損失が生じた場合は、当該漁業権者に対し政府が補償措置を講ずることになるのは云うまでもない。

もくじ▲

 

 漁業権の正当なる補償手続きを経ずに漁業権の侵害となる公共事業はすすめられない

   以上、現在私の手元にある資料を整理してみた。前記漁業法第39条の規定の運用について、水産庁が「限定的に」考えるべきであるとした公益の必要性については、十分に考慮をすべき内容が含まれている気がする。回答文中にもあるように、第39条1項の漁業調整や船舶航行など列挙した事項と、土地収用法などの収用は公益に該当するとしているが、はたして漁業権の変更、取り消しの補償事例として、ダム建設工事を該当させることができるかどうかについても慎重な判断がなされるべきであろう。

 さらに、現場の関係漁協の総意である総会決議事項をホゴにしてまで、土地収用法による漁業権の強制収用事例の第1号とすべきであるのかも同様に、その必要性があるかどうかは問題がありである。

 これまで、漁業権の収用事例がなかったのは、べつに収用の必要性がなかったとか、適合した事業事例がなかったというのではなく、収用しても事業推進上なんの役にも立たないばかりか、公益性の是非の議論において、本来の憲法に保障された「財産権はこれを犯してはならい」という規定に立ち戻ってしまうからに他ならないからなのだと思う。

 熊本一規さんの『公共事業はどこが間違っているのか?』のQアンドAのうち「漁業権の強制収用はかえって事業者の首をしめる」ということをわかりやすく書いた文章が掲載されていますので、その部分を<資料―>として転載しておきますので、ご一読ください。

 いまだ、サイト編集長MANAにも、法律的なこまかな部分については正直わからないことだらけである。しかし、ことの重大性だけは認識しているつもりだ。ぜひ、法律の専門家にも、そして法律にはしろうとでも、漁業権の強制収用に潜む問題点の大きさを感じている方々にも、このテーマについて多方面からの検証をお願いしたい。

(「MANAしんぶん」主催者 中島 満) 

○資料―1(2001年12月12日付―wetland2 84641より転載)

――熊本一規明治学院大学教授の見解=共同漁業権の一部収用が不可能なことについて、いままでより詳しく記しておきます。

 漁業権の免許をする際には、あらかじめどこにどのような漁業権等を設定するかを定めた漁場計画が立てられ、それに対して申請を受けて、申請者のうちあらかじめ定められた優先順位に従って免許されます。共同漁業権の場合、漁業法上の漁業権者(漁業法は公法なので免許を受ける漁協を漁業権者と呼んでいます。拙著参照)である漁協が申請し、漁協に免許されます。

 変更免許や分割の場合も同じです。変更や分割を内容とした漁場計画樹立→申請→免許という手続きになります。

 漁場計画は、漁業権の存続期間(共同漁業権の場合は10年、その他の漁業権は5年)が終了する前には必ず立てられます。しかし、存続期間中は、漁業権者からの強い要請がない限り漁場計画は立てられません。

 ちなみに、水産庁によれば、これまで漁業権の存続期間中に漁場計画樹立をし、変更免許をした例はないそうです。

 共同漁業権の一部収用ができないことは、次の三点に基づいて言えます。

 @漁業権者からの要請がないと漁場計画が立てられない。

 A漁場計画は、より漁業生産力を上げる方向でないと立てられない。

 B漁場計画が立てられても、漁業権者からの申請がないと漁業権の免許はされない。

   いままでは、主としてAに基づいて一部収用ができないと説明してきました。しかし、一部収用は@やBにもとづいても不可能です。

 @の要請やBの申請は漁業権者が自ら行うことであり、「共同漁業権は漁協の権利」とする最高裁判決に基づいても、漁協の総会決議が必要です。しかし、球磨川漁協の総会決議が得られる状況にありませんので、@もBも不可能です。ちなみに、次に紹介する明治44年の通達(12月9日の集会レジュメにも掲載)は、Bの点から 一部収用は現行法上不可能と言っているのです。

◇漁政例規

漁業法第十条ニ関スルノ疑義ノ件

  照会(明治四四年一○月二六日付徳島県) 漁業法第十条第一項ハ「漁業権ハ行政官庁ノ許可ヲ受ケタルニ非サレハ之ヲ分割シ其他変更スルコトヲ得ス」ト規定シ他ニ何等例外ノ規定ナキヲ以テ之ヲ反面ヨリ解釈スルトキハ漁業権ハ行政官庁ノ許可ニ依ル場合ノ外分割セラルルコトナシト解セラルルニ至ル随テ土地収用法ニ依リ起業者カ漁業権ノ一部(漁場ノ一部)ヲ収用セントスルハ所謂漁業権分割収用トナルヘキヲ以テ漁業権ノ一部ハ収用シ得ヘキモノニアラスト解セラレ候処右ハ当事者双方大ナル不利益ナルヘク即チ起業者ハ必要ナキニ全部ノ収用ヲ余儀ナクセラルルノミナラス漁業権者モ亦理由ナク(起業者ノ必要ナラサル部分)其漁業権全部ヲ収用セラルルニ至リ共ニ不合理ト認メラレ居候処右ハ他ニ相当調和ノ途無之法ノ規定上止ムヲ得サル義ニ候哉御意見承知致度

  回答(同年一一月八日付水産局長) 本年十月ニ十六日付内水第六一四四号ヲ以テ漁業権収用ニ関スル件御照会相成候処漁業権ノ一部収用ハ御見解ノ如ク現行法ノ認メサル所ニシテ如何トモ致難候ニ付其必要アル場合ハ漁業権者ヲ説諭シ漁業権分割ノ許可ヲ受ケシメ之ヲ収用スルカ又ハ漁業権者ヲシテ便宜漁業権ノ変更ヲセシムルノ方法ヲ採ルノ外途ナキ義ト思料致候條右ニ御了知相成度

   以上の点について、水産庁は99%同意しています。

 水産庁と違うのは、Aについて、私は「漁場計画は、より漁業生産力を上げる方向でないと立てられない」という見解であるのに対し、水産庁は「漁業生産力がプラスになる場合のみならずゼロの場合も立てられる」という見解です。ちなみに、私の根拠は、漁業法の趣旨や第1条、私権と公法との関係、現行漁業法の解説書『漁業制度の改革』などであり、水産庁の根拠は、86年5月2日久保亘氏の質問主意書に対する政府答弁書です。

皮肉なことに、この久保氏の質問主意書は、志布志湾の運動に関わっていた私が書いたものです。

しかし、ダムの場合のように漁業生産力がマイナスになる場合には立てられないという点では一致していますので、ダムの場合には100%一致しているといってもかまわないのです。

 驚いたことに、国土交通省はいまだに水産庁への打診を全くやっていません。水産庁も首をひねっています。とても正気の沙汰ではありません。

 しかし、県収用委員会になるとそんなことはできませんから、一部収用不可能の結論になるはずです。

 一部収用できませんから、和解しかなく、再び少なくとも総会決議を挙げなければならなくなることは確実です。  

 資料―2 浜本幸生講演原稿「現行の漁業調整制度が果たしている役割」(1998年4月講演「河川開発事業に伴う漁業関係調査」から抜粋)

漁業権を消滅させることに伴う重大な負の事態 

 漁業権を消滅させたことに伴い、今後想定される重大な負の事態がある。それは、漁業補償契約によって漁業権を放棄(一部放棄)させることによって生じている漁業法上の法律問題が、顕在化することである。

 

1 都道府県知事の「漁場計画の樹立」義務との関係について

(1) 都道府県知事は、漁業法第11条第1項の規定により、「水面の漁業上の総合利用を図り、漁業生産力を維持発展させるためには漁業権を免許をする必要があり、かつ、当該漁業権の免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるとき」は、漁場計画を樹立することが義務付けられている。

(2) そのため、土地収用法又は農地法に基づいて漁業権を消滅させた水面であっても、工事が行われないで水面が残っているときは、漁場計画を樹立して漁業権を免許することにしているのである。

(3) まして、漁業補償契約に基づいて漁業権を消滅させた場合に、水面が埋め立てられずに残っているときは、知事は、漁場計画を樹立して漁業権を免許しなければならない義務があるのは当然である。

 

2 漁業権の一部放棄による「変更免許」は、困難である。

(1) 「漁業権の一部放棄」とは、漁場区域を縮めるとか、漁業種類を減らすとか、漁業時期を短縮するというものであって、それは、A―(2)―4の(2)〈「漁業権変更の意義」〉で述べたように、漁業権の免許内容を変更するものである。

(2) したがって、「漁業権の一部放棄」を実現するには、漁業法第22条第1項の規定に基づいて、都道府県知事に申請し、その変更免許を受けなければならない。

(3) しかし、「変更免許の申請があった場合に、公示した漁場計画の内容と異なるときは、知事は変更免許をしてはならないとされている(同条第3項により準用される同法第13条第1項第2号)ので、知事は、漁場計画の見直しを行い、その見直し後の漁場計画に即して漁業権の変更の免許を行うことができると解している。なお、漁場計画は水面についての漁業上の総合利用ということを考慮して計画されるものであり、これに基づき漁業権が設定されるものであることから、漁場計画に基づいて漁業の免許がなされた後は、原則として漁業権の変更を行うべきでない旨指導してきている。」との、政府の解釈がある(久保亘参議院議員の質問に対する昭和61年5月28日付け内閣回答)。

 

○資料―3 熊本一規著『公共事業はどこが間違っているのか?』2000年。まな出版企画)より

  [強制収用は事業者の首をしめる]

  Q――川辺川ダム計画で建設省が強制収用をほのめかしているようですが、強制収用したらどうなるのでしょうか。漁業権放棄の場合と似てくるように思いますが。

  A=熊本 漁業権の強制収用は法的には可能ですが、定置漁業権・区画漁業権と共同漁業権とでは全く異なった結果につながります。

 定置漁業や区画漁業が強制収用されれば、定置漁業・区画漁業ができなくなります。それらは許可漁業で、一般的には禁止されており、漁業権の設定と同時に許可も出されていたわけですから、漁業権がなくなると許可も取り消されたことになります。許可が取り消されると、一般的に禁止されている状態に戻って、誰もできなくなります。

 共同漁業権の強制収用も法的には可能です。しかし、共同漁業権は収用できても、共同漁業は漁業権に基づかなければ営めない許可漁業ではなく、自由漁業ですから、漁民は従来どおり営めるのです。

 そのうえ、共同漁業権の背景にある入会権も漁業権があろうがなかろうが存続し続けるのです。

  Q――関係漁民であれば、共同漁業権がなくなっても入会権に基づいて共同漁業を営めるということですか。

  A=熊本 漁業法14条11項の「員外者の保護」を思い出してください。「員外者の保護」は、関係漁民であれば、組合員でなくとも共同漁業を営めるというものでした。それは、関係漁民が慣習に基づいて入会権を持っているからでした。

 共同漁業権が収用されれば、関係組合員も14条11項の員外者と同じように、漁業権は持たないけれども入会権を持つことになるのです。ですから、関係組合員は入会権に基づいて従来と同じように共同漁業を営めるのです。

  Q――入会権を収用することはできないのですか。

  A=熊本 収用できなくはないでしょう。 しかし、収用する場合には補償しなければならず、入会権を収用する場合には、いうまでもなく入会団体に補償しなければなりません。そうすると、建設省は、共同漁業権は漁協の権利としていますから、共同漁業権の収用の際に漁協に支払った補償額と同じ額を、入会権の収用の際には入会団体に補償しなければならないことになります。共同漁業権を入会権的権利と認めていれば、共同漁業権の収用の際の補償だけで済むのに、共同漁業権を漁協の権利としているために、漁協と入会団体に別々に同じ額を補償しなければならなくなるのです。そんなことをすれば大問題になるでしょう。

 この問題点を回避しようと思えば、共同漁業権を入会権的権利と認めておけばよいのですが、そうすれば、今度は任意交渉で建設しようと思っているあらゆるダム建設に影響を及ぼし、ダム建設が難しくなってしまうから、そう簡単に認められないのです。

 そのうえ、仮に入会権まで収用できたとしても、今度は共同漁業は全くの自由漁業になって新たに市民が自由に入ってきます。そして、それが次第に権利に成熟していきます。自由漁業ですから、従来の組合員も当然引き続き共同漁業を営め、それはすでに権利にまで成熟しています。

 他方、前述のように、ダムを造る行為は許可使用ですから、自由使用(自由漁業)に対して優越するわけでも何でもない。ですから、共同漁業権を収用してダムを造ろうとすると、今度は、組合員に加え、新たに入ってきた市民からも同意をとらなければならなくなります。

 ですから、共同漁業権を強制収用すると、漁業権放棄の場合と同じように、事業者が自分で自分の首を締める行為になってしまうのです。

  [一部収用も一部放棄も不可能]

  A=熊本 そのうえ、共同漁業権は、土地所有権と違って、その一部を収用したり放棄したりすることはできません。

 河川の共同漁業権というのは、通常水系全体で一つの権利として免許されます。「水系一体で免許をするように」との水産庁通達もあります。これは、河川の共同漁業は遡上する魚を主たる対象とした漁業ですから、水系全体を一つの共同漁業権として管理する必要があるためです。

 河川の上流にダムを造る場合、ダムの部分だけ漁業権を収用して、あとはそのまま認めればいいのでは、と思われるかもしれませんが、水系全体で一つの漁業権ですから、収用するとしたら、水系全体の漁業権をまるごと収用するしかありません。

  Q――土地の場合には部分的に収用できますよね。

  A=熊本 そうです。しかし、それは、一つの土地所有権をそのままにしてその一部を収用しているわけではありません。土地の分筆を先に行って、一つの土地所有権を二つの土地所有権にしておいて、そのうちの一つをまるごと収用しているのです。

 共同漁業権の場合も、もしも漁業権を分割できれば一部収用が可能になります。つまり、水系全体として免許されている漁業権を分割して、ダムの部分とその上流及び下流の三つの漁業権に変更できれば、ダムの部分の漁業権をまるごと収用すればいいことになりますから、一部収用が可能になります。

 しかし、そのためには、漁業権の分割が必要です。そして、漁業権の内容は免許によって決められていますから、漁業権を分割するには、漁業権の変更免許を受けなければなりません。漁業権の場合、土地における分筆にあたる行為は、漁業権の変更免許になるのです。

 それでは、変更免許で三つの漁業権に分割して、そのうちの一つを収用すればいいではないか、と思われるかもしれませんが、それは不可能なんです。なぜなら、漁業法上、漁業権の免許の際には、新規免許の場合も変更免許の場合も、予め漁場計画を立てておいて、その漁場計画に定めてある漁業権に申請するという手続きが必要ですが、漁場計画の樹立は漁業生産力を上げる方向でしかできないからです。そのことは、漁業法11条1項「漁業生産力を維持発展させるために免許をする必要がある場合にのみ漁場計画を樹立できる」に示されています。ですから、埋立やダムの場合に漁場計画を立てることは不可能です。

 したがって、変更免許も不可能となり、漁業権の分割ができませんから、一部収用も不可能になるのです。

 共同漁業権の一部収用は不可能ですから、収用する場合には、水系全体の共同漁業権のまま、まるごと収用するしかないんです。川の上流にダムを造る場合でも、水系全体の全部の漁民から漁業権を取り上げなければいけないということになります。収用に即して説明しましたが、放棄の場合も同様なことはおわかりでしょう。

  Q――でも実際に、一部放棄を受けて漁場区域の一部が削除されている免許もありますが。

  A=熊本  確かにありますが、それは漁業法11条に照らして法的には誤りです。共同漁業権の10年の存続期間中にそのような変更免許がなされれば、それを取り消すことはできます。法的に誤りですから、請求されれば必ず取り消さなければなりません。

 しかし、共同漁業権は10年ごとに切替えになりますが、その切替え時に区域を一部削除した免許がなされれば法的に争う術はありません。その理由は、取消しを訴えると免許自体が取り消されてしまう、また、無効を訴えると免許自体が初めから無効になってしまうからです。切替え時における一部削除じたいを法的に争うことができないのです。

 浜本幸生さんは、「法的に争う術がないから、行政庁として、そのような免許はしてはならないんだ」と言われていました。

  Q――では、一部削除を復活させる術は全くないのですか。

  A=熊本 争う術がないだけで復活させる術がないわけではありません。 そのような時には、漁民は、海区漁業調整委員会ないし内水面漁場管理委員会に要請して新たに一部削除を元に戻した漁場計画を樹立してもらい、それに申請することを通じて漁場を復活させればいいし、それしかないのです。要するに変更免許の手続きです。この場合には漁業生産力を上げる方向ですから、海区漁業調整委員会等は漁民の要請に応じなければなりません。

[ダムや埋立での共同漁業権の収用事例はない]

Q――これまで共同漁業権が収用された事例はないのですか。

A=熊本 ダムや埋立で漁業権を収用した事例はありません。  

 ところが、建設省の小沢道一という人が書いた『逐条解説土地収用法』という本には、高知と熊本で収用の事例があると書いてあります。でも、詳しく読むと、高知の場合は「和解調書を作った」と 書いてあります。これは、強制収用はしていないということです。和解したわけですから強制収用にはあたりません。こんな事例を収用の事例として載せるのは論外です。

 熊本の事例は球磨川の市房ダムです。市房ダムの場合には、「漁業権の制限を行なった」と書いてあります。漁業権を収用すれば漁業権が消滅しますから、「制限を行なった」ということは収用ではなかったことを意味します。ですから、市房ダムの場合も収用の事例ではありません。

[土地収用法でできるのは漁業権の使用だけ]

Q――市房ダムの場合について、もっと詳しく説明してください。

A=熊本 市房ダムの場合は、土地収用法に基づく手続きを進めて裁決が出たのですが、裁決内容は、「使用の許可」になっています。熊本県収用委員会の裁決として許可書が出され、そこには「県及び建設省が昭和35年1月7日より6ヶ月間左の権利区域を使用することを許可する」と書いてあります。

 使用と収用は違います。使用は、漁業権はそのままで、水面を強制的に一定期間使用するということです。水面を6ヶ月間一時使用するということを、話し合いに基づいてではなくて、強制的に行なったのです。「使用」とは、強制的に水面を一時使用するが使用期間が終わったらまた元に戻すということで、漁業権の収用ではありません。漁業権は全く変わりなく、ずっと存続しているのです。

 いうまでもなく、使用だけではダム本体工事はできません。ダム本体は水面を消滅させますから漁業権を消滅させます。ですから、強制的にダム本体工事をやろうとすれば、漁業権の収用が必要です。

 では、市房ダムの場合、ダム本体工事はどうして行ったかというと、補償契約を交わしたうえで行っているのです。補償契約は昭和35年8月31日に交わされています。つまり、6ヶ月間の使用が7月6日に終わった後、補償契約が交わされ、それに基づいて本体工事が行われたのです。

Q――収用ができなかったということですね。

A=熊本 もしも、共同漁業権を一部収用できるものならば、そんなややこしいことはせず、初めから一部収用したはずです。収用せずに、使用を経たうえでダム本体工事は補償契約に基づいて行なったということは、やはり一部収用が法的にできなかったことを物語っています。

 使用によって強制的に工事を行う場合も、土地収用法123条2項によれば6ヶ月間が限度であり、使用の許可の期間の更新はできないとされています。つまり、市房ダムでは土地収用法に基づいて可能な最大限のことが裁決によって行われた、それが6ヶ月間の使用にすぎなかったということです。

 [影響補償も補償契約によらざるを得ない]

A=熊本 もうひとつ、補償契約を結ばざるを得なかった理由があります。それは、影響補償です。

 漁業補償には、消滅補償、制限補償、影響補償の三種があります(第U篇〈Q23〉参照)。消滅補償とは、水面が消滅して漁業が不可能になることに対する補償、制限補償とは、一定期間工事が行われて漁業が制限されたり、工作物の周囲の水面で漁業が困難になったりすることに対する補償、影響補償とは、工事に伴う水の濁りなどの影響に対する補償です。

 土地収用法を適用して可能になるのは、この三種のうち、制限補償だけです。一定期間工事を行なうことは、制限補償を支払ったうえで使用をつうじて強制的にできます。しかし、消滅補償は、すでに述べたように、漁業権の一部収用が不可能ですから、強制的に行うことはできません。そのうえ、ダム本体工事に伴う影響補償も、漁業権を収用したり制限したりするわけではありませんから、土地収用法をつうじて強制的に行うことはできないのです。

 財産権を侵害するには、補償契約あるいは強制収用をつうじて、とにかく補償を支払っておかなければなりません。消滅補償と影響補償が土地収用法をつうじて強制的にできない以上、それらは補償契約をつうじて支払うほかはないのです。そうしなければ、憲法・民法違反になりますし、そのうえ漁業を営む権利に基づく妨害排除請求や妨害予防請求をされれば工事が不可能になります。

 ですから、土地収用法を適用して強制的に埋立やダム建設を行なうことは不可能なのです。この点が、内陸での土地所有権の収用の場合と全く異なるのです。市房ダムのケースがそのことを証明しています。

〈以下略〉

もくじ▲


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