海って誰のものだろう?【投稿のページ01

 

熊本県・川辺川ダム

漁業権の強制収用への意見書

やつしろ川漁師組合2002年1月20日)


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001 海を守るということはどういうことか?

002熊本県川辺川ダム漁業権強制収用への疑問

New!!漁業権は財産権である!!

New!! 最高裁平成元年判決問題と漁業行使権(水口憲哉)

 

 

もくじ

MANAによる紹介のメモ

「意見書」本文

はじめに|意見書提出までの経緯

漁業権収用裁決申請への素朴な疑問|問題点の整理

(1)漁業権は漁協ではなく組合員個人にある |(2)漁業権は収用不可能である

(3)収用された漁業権は誰のものか |(4)関係漁民は球磨川漁協に限定できない

収用委員会は良識ある判断を望みたい|具体的な要望事項

 

[以下の、「やつしろ川漁師組合」(MANA補注)の「意見書」は、MANAによるメモ(002)でもふれた熊本県川辺川ダム建設をめぐり2001年12月に国土交通省が決定した漁業権強制収用裁決申請に対応して、申請を受理した熊本県土地収用委員会に宛て提出された「意見書」の全文です。同組合に所属するTさんが、組合員やダム建設に反対する仲間と漁業法や水産業協同組合法の勉強会によって積み上げてきた勉強の成果といえます。こういうものを「意見書」としてまとめ提出しましたと、送っていただきました。新聞によると、同収用委員会には400以上もの意見書が寄せられているといいます。その1件1件に真剣な読み込みを行っていくだけでも、漁業権強制収用の誤りが浮きぼりにされてくるとおもう。ぼくはいずれその全文に目を通してみたい欲求にかられているが、現在はそれもできないので、その機会をつくることを楽しみしていきたい。

 本意見書は、漁業権という難しい権利の内容をきちんと整理し、独力でここまで書き上げたことに、一読して感動してしまった。Tさんは、「誤りがあるかもしれない」と謙虚におっしゃっていたが、そんなことはない、漁業者や市民が自ら収得した漁業権の力に対する理解こそが、ほんとうに説得力のある「知」の世界を表現しているような気がしています。

(主催者MANAによる蛇足的注釈)

もくじ

註:下記「意見書」中ので記した見出しはMANAにより挿入したもので、収用委員会に提出した文書には含まれていません。


 

熊本県土地収用委員会 御中

 

意  見  書

 

やつしろ川漁師組合

                             

 

はじめに

 

 当団体は、球磨川漁協組合員及び遊漁者(員外者)を構成メンバーとする任意団体で、漁業者の権利を守るだけでなく、かつての豊かな球磨川の自然を取り戻すことを目的に活動しています。

 昨年〈2001年=MANA註〉、12月19日に国土交通省によって申請されました川辺川ダム問題に関わる漁業権の収用裁決申請に関して意見を申しあげます。

もくじ

意見書提出までの経過

 

川辺川ダム建設に関する事業認定に関しては、その事業認定申請から裁決申請にいたるまでの経過においても、国土交通省は球磨川漁協の同意を強引に得ることばかりを念頭に置き、事業認定に対する意見書提出による組合員の意見を反映する公聴会も開催されることなく、また住民への説明責任は全く果たしてきていませんでした。

本体着工に必要な漁協との補償交渉においても2度も補償案は否決されるという結果となっています。また、水害の受益地とされる流域の2市村においても、住民投票を求める署名活動が行われるなど、この事業の公益性が認められたとは言い難い事実があります。

これでは、土地収用法第20条に定められた認定の必要案件を満たしているとはいえません。この出発点にそもそも大きな誤りがあるように思います。

 強制収用という手続きは、住民が必要としている事業が数人の地権者などの反対により、その大きな公益性が失われる危険性がある場合に始めて取られるべき手続きだと理解しています。このような強権的な事業の進め方は、日本の民主主義が地域に根付いていない証拠ですが、国土交通省の河川行政の改革にも逆行するもので、世論の理解も到底得られるものではありません。

 熊本県収用委員会が事業の妥当性を審査する機関でないことは、承知していますが、上記のような経緯の上に、今回の裁決申請があるのだということを認識していただき、審議するにあたっては、この事業の背景に関して情報を収集・確認することから始めることが必要ではないでしょうか。

もくじ

漁業権収用裁決申請への素朴な疑問

 

 この漁業権の収用裁決申請に対しては、素朴な疑問がいくつもあります。

 

@ 今まで、漁業権の収用という事例がなかったのは、何故だろうか。裁決するだけの必要がある事例がなかったか、あるいは漁業権は収用できないということを国土交通省は認識していたのではないか。

 

A 土地収用法でいう関係人にはいろんな権利を持った者(・・所有権以外の権利を有する者や漁業権、入漁権に関する権利を有する者)が含まれているが、国土交通省が漁協だけを交渉対象としてきたこととは明らかな矛盾がある。今までの経過に法律違反があったのではないだろうか。

 

B 過去前例のない漁業権の収用を、根拠もなく行った場合、どこにどのような影響があるかも分からないまま、熊本県の収用委員会という一地域のレベルで判断していいのだろうか。その後への影響への責任の所在はどこにあるのだろうか。

 

C 土地のように収用することが出来るとしたら、漁業権の所有者は国土交通省であるというおかしなことになる。漁業権はいうまでもなく、漁業をする権利であり、その権利を国土交通省が行使するわけでないことは誰の目にも明らかである。また漁協から取り上げるとしたら、漁業権の免許を受けることでことで他を排他的に排除し漁業を行う権利が漁協から失われるにすぎないので、もとの共同漁業ができる公有水面に戻るだけではないか。漁業権の権利を奪うことと公有水面である河川の所有者が国土交通省になることが同じであることは、どの法律に記載されているのだろうか。

 

・・・・と、湧いてくる疑問はきりがありません。

もくじ

問題点の整理

 

 私達の団体ではこれまでも何度も漁業法や水産業協同組合法に関する学習会を重ねてきました。そして学習すればするほど、これまでの国土交通省の言い分の方に根拠がないことを確信してきました。それらを交えて、少し問題点を整理し、判明したことの説明をもって意見に替えさせていただきます。

 

(1)漁業権は漁協ではなく、組合員個人にある。

 

 国土交通省は漁協の同意について、漁業権は漁協にあるとして、漁業の執行部が水協法違反のまま、作った補償交渉委員会と交渉を持ち、最後は人吉の廃屋で補償交渉案をまとめるという強引な手法で交渉を進めてきました。その根拠として、繰り返して、平成元年7月13日の最高裁判決を持ち出しました。しかし、最高裁といえどもこの判決は判例ではありませんので、単なる一判決にすぎず、この裁判後も地方裁判においてさえも、補償を受けるものは漁協でなく漁民であるとする判決がいくつも出されていることからも、この判決を錦の御旗にすることは出来ません。また、少し漁業法を勉強すると、漁業権が漁協にあるとすると、漁業法などの条文の解釈に多くの矛盾点が多く出てくることが分かります。最高裁の判決のおかしさについては、浜本幸生氏が書かれた「共同漁業権論−最高裁判決批判」を一読されることをお奨めしますが、明治学院大学の熊本一規教授は資料(1)に示すようにこの判決のおかしさをまとめておられます。

 漁業を営むのが漁協ではなく、組合員個人であることは、常識的に考えても理解できることであり、漁業補償が漁業法で定められたものではなく、民法による損害賠償に基づく事前補償であることを考えると、損害を受ける漁民個人が漁協に交渉を委任しない限り、国土交通省が交渉を行う相手は組合員個人であるといえます。

もくじ 

 また、昭和47年9月22日水産庁漁政部長通達にも「埋立事業等に伴う漁業補償契約の締結にあたっては、組合は関係する組合員全員の同意をとって臨むよう会わせて指導されたい」とあり、漁協を交渉相手とする場合にも全員の同意を取るよう支持していることからも、補償を受けとるのは個人であることを認めています。

 平成12年9月19日、熊本教授が水産庁に対し出した質問とその回答からも、このことは明らかといえます。

 

質問)

組合員に対して補償することなく漁業行使権を侵害すれば、それは、組合員から告訴されれば漁業法143条の漁業行使権侵害罪にあたることになり、国家社会の秩序違反にもなるが、如何か。

水産庁回答)

埋立やダム建設によリ漁業権又は漁業協同組合の組合員の漁業を営む権利が侵害されるか否かについては、当該漁業の内容及び漁業の実態を踏まえ、各事例に即して判断すべきものと考える。

漁業補償は民事上の問題であり、民事上の手続きを通じて解決される問題であると考えるが、このこととは別に、漁業法第143条の規定により、漁業協同組合が定める漁業権行使規則において規定する資格に該当する組合員が有する漁業法第8条第1項の漁業を営む権利を当該事業が侵害するものと認められる場合には、組合員が告訴権を行使することが可能である。

 

 また、員外者(遊漁者)にも補償交渉の権利があることを、国土交通省も認めていることからも、補償を受ける者が漁協であるという解釈は成り立たないことになります。

 

 

(2)漁業権は収用不可能である

 漁業権が収用の事例がないことは、なぜ事例がないのかということを、過去の例にさかのぼって検証することや、漁業権の性質をよく調べることによって、漁業権の収用は不可能あること判断せざるをえないということがご理解いただけることかと思います。

 

@ 漁業権の収用についての、国会図書館農林環境課による説明

2001年10月31日日本共産党 小沢衆議院議員秘書である篠原常一郎氏が国立国会図書館に対し、「漁業権を土地収用法に基づき事業者が収用委員会に裁決申請をしたケースの有無、またあった場合、その具体的内容」について説明を求めています。これに対し、同図書館農林環境課は集団作業の上、「漁業権は、そもそも土地収用法制度に基づいて強制収用することはできない」と回答しています。その説明によると、「漁業権とは、きわめて広範にわたる権利であり、また定形物ではないために仮に権利を停止したとしても、他者が漁業を水面上で強行するなど妨げられないという特徴を有している。そのために、例えば内水面漁業が行う漁民がその家屋を有する土地がダム事業で水没する等のために土地家屋と付随して漁業権を収用される場合以外、収用のしようがない。実際に戦後、土地収用制度によって収用裁決された事例を網羅した『土地収用裁決例集』(第一法規刊)によっても、漁業権を収用裁決した事例は一例も見当たらない。漁業権の収用は不可能で、任意交渉で補償する以外の道はない」とあります。国立国会図書館は、国会議員及び国立の立法調査活動を補佐するために設置された独立の国家機関であり、いかなる省庁にも左右されずに客観的調査及び分析を行う機関で、大変重みがあるといえます。

 

A 漁業権の一部収用は不可能である。

土地の場合、土地所有権一部だけを収用するためには、当然土地所有権を分割する手続きが必要に必要で、収用対象となる土地を一つの土地収用権にしておいて、それを丸ごと収用することになります。土地収用法を適応する以上、土地に順じた手続きが必要で、共同漁業権の分割が必要であることは明白でしょう。また、100歩譲って、ダム建設によって結果的に分割されたとしても、ダム建設の前後では、漁場の振興方法についえは、変化が予想されますので、漁業法に従えば、漁場計画の変更が前もって必要になります。もちろん前もって共同漁業権を分割して収用する場合にも、漁業計画の変更が必要になることはいうまでもありません。

漁業法においては、漁業権を免許する際には、県が予め漁業権の内容を記した漁場計画を樹立したうえで、漁協が免許の申請を行うという手続きをとっています(漁業法10条、11条)ので、漁場計画と内容が異なる漁業権の免許はされていません。従って、現在の水系全体を漁場区域としている漁場計画と、分割後は大きく異なることが明白ですので、漁場計画の変更を行わない限り、分割された内容の共同漁業権の内容を勝手に、県や収用委員会で変更して、共同漁業権を一部収用することはできません。

 

以上のことから、漁場計画を立てた上でないと漁業権の収用は行えないし、仮に収用されたとしても、国会図書館の説明でも明らかであるように、漁業権を収用しても、水面があるかぎり新たな漁業権が発生するという漁業権の得意な性質上、漁業権の収用は法的に不可能であるといえます。国土交通省が裁決申請にあたっては、いかに勝手な漁業権の解釈の上に手続きを進めてきた結果であることがご理解いただけると思います。もし、ダム建設にとって、漁業権者の同意が不可欠で、その対象が漁協に限定されるなら、一番最初に漁協の同意をどうしてとらないのかという、素朴な疑問も出てきます。国土交通省は、建設に必要な同意が漁協組合員の3分の2の同意ではなく、全員の同意が必要であり、かつ強制的に収用することができないことを理解しているからこそ、付帯工事を強引に進め、「どんなに反対してもダムはできる」と思わせ、最後に同意をとることでしか、ダム建設が進まないと考えると納得がいくような気さえしてきます。

仮に土地収用法において、漁業権の分割を行うことができるとして裁決決定を行うのであれば、土地収用委員会は、漁業法と土地収用法の解釈において矛盾が生じないよう、その根拠を示すべきです。

 

 この土地収用法と漁業法における漁場計画の樹立の関係について、永年漁業法と漁業法の担当部署にいて「漁業法の神様」といわれた浜本幸生氏の記述を参考にあげておきます。

もくじ

浜本幸生著『漁業法の哲学』(1988年)

――「@〈前略〉土地収用法との関係で収用された漁業権についても水面が空いていたら漁業権を免許するというのが、長官通達の本文〔「農林省が行う干拓事業と漁場計画との調整について」昭和38年2月25日水産庁長官〕にあります。この考え方は、漁業権の免許というものは、漁業法第11条に免許すべき基準、及び免許してはならない基準が書いてあり、これ以外には、漁業権の免許の基準はないわけです。まずそれが重要な点です。

 A農林省の干拓事業との調整あるいは土地収用法で収用した水面の取り扱い、これは皆、補償が済んだ水面の問題です。土地収用法というのは、「正当な補償のもとに私権を公共の目的に遣う」という、憲法29条第3項の規定を具現するために作られた法律で、土地収用法の発動があったというのは、すなわち、補償がなされたということになるわけです。

 Bこのような水面でも、水面として空いておれば、漁業権を免許して、その水面の総合的高度利用による漁業生産力の発展を図るというのが、漁業法の目的なのです。

もうひとつ、漁業法第11条の漁場計画の樹立義務、免許義務によって、総合的高度利用ができる水面が残っているときに、免許すべきであるにかかわらず漁場計画を立てないときは、それは、立てないのは違法ではないか、という問題になるわけです。」

 

浜本講演メモ「河川開発事業に伴う漁業関係調査」(1998年)――「漁場計画の樹立」の基準(漁業法11条第1項)

 

――「都道府県知事は、その管轄に属する水面の「漁業上の総合利用を図り、漁業生産力を維持発展させるためには漁業権の内容たる漁業の免許をする必要があり、かつ、当該漁業の免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるとき」は、かならず、漁場計画を樹立しなければならない(漁業法第11条第1項)。

したがって、公益事業の用に供するものとして土地収用法によって漁業権が収用された水面、又は農林水産省の干拓事業のために農地法第56条に基づいて漁業権を消滅させた水面であっても、工事が相当期間行われないときは、その事業を実施する国の機関等と協議のうえ、当該水面について漁場計画を樹立し、漁業権を免許することとされている(昭和47年8月7日付け水産庁長官通達)。」

 

 この漁業法と土地収用法の基本的関係をしっかり整理、検証したうえで、収用によって起こりうる諸問題を想定、対応を考えていく必要があるように考えます。

 

 

(3)収用された漁業権はだれのものか。

 仮に土地の場合であれば収用された土地については、移転登記を経て事業者のものとなります。しかし、漁業権が収用された場合、漁業権が国土交通省に免許されるわけではなく、漁協に免許することによって、漁場を排他的に利用する権利が失われるにすぎません。また、川が公有水面である限り、国土交通省が所有できる性質のものでもありません。

 

 

(4)関係漁民は球磨川漁協に限定できない

 土地収用法第8条3項によると、「関係人」については、

 

「この法律において『関係人』とは、第2条の規定によつて土地を収用し、又は使用する場合においては当該土地に関して地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用賃借若しくは賃貸借による権利その他所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物権に関して所有権その他の権利を有する者を、第5条の規定によつて同条に掲げる権利を収用し、又は使用する場合においては当該権利に関して質権、抵当権、使用貸借若しくは賃貸借による権利その他の権利を有する者を、第6条の規定によつて同条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物権を収用し、又は使用する場合においては当該物権に関して所有権以外の権利を有する者を、第7条の規定によって土石砂れきを収用する場合においては当該土石砂れきの属する土地に関して所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物権に関して所有権その他の権利を有する者をいう。ただし、第26条第1項(第138条第1項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後において新たな権利を取得した有は、既存の権利を承継した者を除き、関係人に含まれないものとする。」

 

とあり、また5項には、

 

「5  前項の規定は、鉱業権、漁業権又は入漁権に関する権利を有する者について準用する。」

 

とあることからも、関係人は、

 

「所有権その他の権利を有する者」

「漁業権又は入漁権に関する権利を有する者」

 

であることは明らかです。

 漁業権の所有者を国土交通省のいう社員権説に従って、球磨川漁協と限定した場合、「その他の権利」を持つものとは誰を指すのであろうか。

 5項により、入漁権に関する権利を有する者も準用の対象となり、漁業法14条11項により、漁協に属さなくても共同漁協漁業権が営めることは明白であり、員外者の権利は保護されていることからも、漁業行使権によって漁業を営む漁協組合員も関係人と認めることが妥当です。

 「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(漁業権等の制限に係わる補償)22条の規定には、

 

「制限する漁業権等に対しては、当該権利が消滅するものとして、第17条の規程により算出した額に、当該権利の内容等を考慮して適性に定めた割合を乗じて得た額をもって補償するものとする」

 

とありますが、この規程の趣旨は、同要綱の解説(建設省建設経済局総務課監修)には、

 

「本条は、漁業権、入漁権その他漁業に関する権利を制限する場合における補償の根拠および補償の算定の方法に関する規定である」

 

とあります。

 

 またこの規定にある『漁業権等』の解釈については、(注解)として、

 

「漁業権等の制限とは、漁業権等の設定されている区域の全部又は一部において、一定機関その権利の行使を不可能とすること及び河川等に工作物を設置することにより当該漁業権等の行使に支障を生じさせること等をいう」

 

という内容からも、制限を受け、補償をうけるのは、漁業権を免許されている漁協ではなく、漁業権を行使する組合員を指すものであることは明白です。

 

 更に、漁業法によれば、漁業権、入漁権は物権として見なされており、漁業行使権においても、「物権」であると規定されてはいませんが、物権たる漁業権に基盤を置く権利として物権的性格を有していると解釈されており、漁業利益の実現が妨害され又は妨害される場合には、妨害者に対し妨害の排除・予防を請求する権利(物権的請求権)を持っています。以上のことからも、組合員のもつ漁業行使権も関係人に該当すると考えるべきです。

 

また、河口及び球磨川下流沿岸においては、シラスウナギの採捕が20年にわたって行われていますが、このシラスウナギ漁業者によるシラス組合に対しては、国土交通省も補償交渉すら行っていませんが、組合が漁業権を持つという解釈に従っても、シラス組合が球磨川漁協に対し、補償交渉の委任を行っていない限り、補償の対象とすべきでなかったかという疑問が残ります。ましてや、シラス漁を行う漁民に対し、説明もありませんでした。

また、八代漁協も球磨川の範囲内に区画漁業権及び共同漁業権の免許を受けており、国土交通省も補償交渉の対象区域を球磨川の河口までと認めているにも関わらず、八代漁協と補償交渉を持ったという報告は聞いていません。

 

 以上のことから、国土交通省は補償交渉の相手として、球磨川漁協だけを対象にしてきたことには大きな間違いがあると考えています。ましてや、水産庁の通達をも無視し、全員の同意を得ずして、補償交渉の締結を行おうとした行為は、組合員の補償を受ける権利の当事者としての権利を無視したものに他ありません。収用委員会においては、漁業権が免許されている球磨川漁協の執行部だけでなく、組合員や入漁者、シラス漁業者、八代漁協の区画漁業権の設定範囲内で漁業を営む漁業者その他の権利をもつすべての者を関係人として認めるべきです。

 

 また、和解にあたっても、土地収用法に定められているように、関係人全員の同意が必要であることから、国土交通省と球磨川漁協との和解だけによって、漁業権の収用の問題を片付けることができないのは、言うまでありません。

例えば、収用委員会が球磨川漁協に対して和解を求め、球磨川漁協が和解に応じても、土地収用法において関係人とされる入漁者(もしくは入漁者集団等)との和解も終了しなければ、手続きは終了しないことは明白です。また、球磨川漁協との和解においても、全員の委任行為が必要であることは、水産庁の通達からも明らかです。そもそも、組合員から補償に関する委任も受けていない、しかも漁業者でもない執行部数人で、組合員の財産権に関する権利を、勝手に決議すること事体が、憲法で保証された個人の財産権の侵害にもあたる行為です。

もくじ

 

収用委員会の良識ある判断を望みたい

 

 以上、当川漁師組合は、この事業につきあらゆる角度から、学習会などを重ね検証してまいりましたが、国土交通省の裁決申請に至る経過は、まさに住民への説明責任を欠いたまま、一方的な解釈により進められてきたものにすぎません。

 

すなわち、土地収用法の必要案件である事業の公益性に関する判断を誰が行ったかという点につきましても、漁協による2度の補償案否決、流域2市村における住民投票を求める署名活動、水害体験者の反対運動、受益者であるはずの利水農家による控訴などから考えましても、流域住民が如何にこの事業によって失われる公益性に疑問を持っているかは明らかであり、この事業の公益性を住民が認めていると言える理由はありません。事業者が立案し、ずさんな同意の獲得を行い、アセス法も適応しないまま公益性を自認し、事業認定を行い、裁決申請を行うなど、その過程には客観性も公平性も何も保証されていないのです。

 

このような事業に土地収用法を適応することは許されるものではありませんが、収用委員会におかれましては、これらの背景を十分考慮された上、良識ある判断をされますようお願いするとともに、以下要望いたします。

もくじ

 

具体的な要望事項

     

1、前代未聞の漁業権の強制収用裁決を行うには、しっかりした法的根拠が必要である。国土交通省の解釈を鵜呑みにするのではなく、土地収用法の裁決申請手続きにおいては土地収用法と憲法を始めとする漁業権、水協法、民法などの法律に矛盾が生じることのないよう、法的解釈及び手続きの根拠についての説明責任を国民に果たすこと。

 

2、その漁業権の収用の事例がない理由と、前例を作ることが、今後どこにどういう影響を与えるかについて、十分検証して手続きを進めること。

 

3、公聴会の開催などにより、関係人が意見陳述を行う場を設けること。

 

以上 

                                    平成14年1月20日


もくじ

資料(1)

平成元年七月一三日最高裁判決は誤りである

熊本一規(明治学院大学教授)

 

共同漁業権者は誰かに関する平成元年七月一三日の最高裁判決が、水産行政及び漁業現場に混乱と弊害をもたらしている。

最高裁判決は、次の@〜Bを判示した。

@ 共同漁業権は法人としての漁協が持つ権利であり、組合員の共同漁業を営む権利は法人の社員が持つ社員権(社員が組合の施設・財産を利用する権利)に過ぎない

A 埋立やダム建設にあたっては漁協総会で漁業権放棄の特別決議をあげればよい

B 漁業補償は漁業権放棄の対価として漁協に支払われる

これらの見解は、漁業法をほとんど勉強していない素人同然の見解である。最高裁たるものがこのような未熟な見解を示したことは驚くべきことである。

最高裁判決の誤りについては、元水産庁漁業調整官で「漁業法の神様」と呼ばれた故浜本幸生氏の大著『共同漁業権論』(まな出版企画、99年)に詳細に述べられている(同書に紹介されている我妻栄鑑定書も浜本説と全く同様である)が、本稿では、誰にでもわかるように簡潔かつ平易に論じることとする。

 

一、前提となる事実

 まず、議論の前提となる事実をおさえておきたい。共同漁業権については多くの誤解がまかり通っており、誤解をもとに考察しても正しい判断ができるはずがないからである。

1.共同漁業を営む者は関係漁民である

共同漁業権は漁協に免許される。しかし、共同漁業を営むのは、漁協でなく組合員である。「組合員が営む」と言っても、必ずしも組合員全員が営めるわけではない。組合員のうち、漁業権行使規則に定める資格を満たす者のみが営める(漁業法8条1項)。

漁業権行使規則の制定・変更・廃止は、漁協総会の特別決議事項である(水産業協同組合法50条)が、それに加えて関係地区に住み沿岸漁業を営む組合員(以下、関係組合員という)の三分の二以上の書面同意が必要である(漁業法8条3項及び5項)。水産庁通達では、関係組合員の書面同意を取ったうえで総会決議をあげることとされている(昭和37年11月13日37水漁第6242号、水産庁長官)。組合の地区と関係地区が異なる場合、関係組合員は、漁業権行使規則に定める資格に「関係地区に住所を有すること」を盛り込むから、結局、組合員のうち関係組合員のみが共同漁業を営めることになる。

しかし、共同漁業を営めるのは組合員とは限らない。関係地区に住む漁民(以下、関係漁民という)であれば組合員でなくとも共同漁業を営める(漁業法14条11項)。そのことは、「員外者保護」と呼ばれている。

 要するに、共同漁業を営む者は員外者をも含めた関係漁民である。

 

2.共同漁業権が放棄されても共同漁業を営める

 漁業は、法的には自由漁業か許可漁業のいずれかに分かれる。

漁業は、本来国民の誰もが自由に行なえる自由漁業である。しかし、自由に任せていると水面を広域的に占有してしまったり、乱獲につながるような漁業は、漁業調整(水面の総合利用による漁業生産力の発展)の観点から、一般的に禁止したうえで特定の者に禁止を解除することとされている。それが許可漁業である。

漁業権が免許される漁業のうち定置漁業と区画漁業は許可漁業である。許可は免許により同時になされることになっている。漁業法9条「定置漁業及び区画漁業は、漁業権に基くのでなければ営んではならない」は、そのことを意味している。

他方、共同漁業は、もともと自由漁業に属するが、そのうえに漁業権の免許がなされている。漁業権が設定されれば、漁業権は物権的権利だから、国民の誰もが自由に営もうとすると漁業権者から排除されるが、放棄や強制収用により漁業権がなくなれば、もとの自由漁業に戻り、それまで共同漁業を行なってきた関係漁民も含め、国民の誰もが自由に営めることになる。したがって、共同漁業権が放棄されても、関係漁民は共同漁業を営める。

 

二、最高裁判決の誤り

 以上の事実をふまえ、最高裁判決が誤りである簡潔かつ平易な論拠を、以下七点にわたって指摘する。

 

1.共同漁業権は共同漁業を営む権利である

共同漁業権は漁協に免許されるが、共同漁業を営むのは関係漁民である。

共同漁業権は「共同漁業を営む権利」(漁業法6条2項)と定義されている。したがって、共同漁業権者は、共同漁業を営む者にほかならない。したがって、それは、漁協ではなくて関係漁民である。

 

2.免許を受ける者と権利を行使する者が分離している

共同漁業権においては、免許を受ける者(漁協)と権利を行使する者(関係漁民)とが分離している。このような権利は、ほかに存在しない。免許は権利を設定する行為であるから、近代法においては、免許を受けた者が権利を行使できず、それ以外の者が権利を行使できることなどあり得ない。

共同漁業権における両者の分離は、共同漁業権が入会権的権利であることによってしか説明できない。つまり、入会団体(関係漁民集団)は法人格を持たないために免許を受けることができず、したがって入会団体に法人(漁協)を創らせてそこに免許するようにしたのである。それは、入会地の登記を入会団体の名前でできず、村落にある漁協や神社の名前で登記するのと同じである。このことは、現行漁業法の解説書である『漁業制度の改革』(水産庁編、1949年)に明記されている。

入会権において入会権者は入会団体の構成員である。同様に、共同漁業権者も構成員である関係漁民である。

 

3.漁業権は財産権である

漁業権が財産権であることは、どの漁業法の解説書にも明記されている。財産権とは、「金銭的価値のある権利」(法令用語小辞典)である。

漁業法上明確なのは、漁協が共同漁業権の免許を受けること、そして関係漁民が共同漁業を営むことである。では、財産権たる共同漁業権を持っている者はどちらかというと、明らかに漁業を営むことによって収入を得ている関係漁民である。漁協は免許を受けているだけで共同漁業を営まないから財産権たる共同漁業権を持っているはずがない。

 

4.ダム建設においては漁業権放棄決議など挙げられていない

最高裁見解によれば、ダム建設に際して漁協の漁業権放棄決議が必ず必要になるが、全国のダム建設において漁業権放棄決議など挙げられていない。得られているのは、補償契約についてか、または補償金の配分受領についての関係漁民(内水面の場合関係漁民集団と組合員集団は一致することが多い)全員の署名捺印である。これは、補償金の配分受領をつうじて関係漁民のダム建設への同意が得られていることを意味している。

 最高裁見解に従えば、漁業権放棄決議がなされていない過去のあらゆるダム建設が違法に建設されたことになる。そんな馬鹿なことがあるはずはない。

 

5.共同漁業権が放棄されても関係漁民は財産権を持つ

一-2で述べたように、共同漁業権が放棄されても、関係漁民は自由漁業としての共同漁業を従来どおり営める。そして、自由漁業と言えども、「権利にまで成熟したもの」は財産権であり、補償を支払うことが必要である(小林忠雄編『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の解説』)。関係漁民は、通常漁業権が放棄されるまで数十年にわたり共同漁業を営んできているから、それは十分に「権利にまで成熟したもの」と言える。

したがって、共同漁業権が放棄されても、関係漁民が財産権としての共同漁業を営む権利を持っていることには何の変わりもなく、埋立やダム建設のためには、財産権の権利者たる関係漁民から同意を取らなければならない。最高裁見解のように「漁協が漁業権を放棄するだけで足り、組合員の同意は必要ない」とするのは全く誤りである。

 

6.財産権の侵害には、その権利者の同意が必要

関係漁民は、財産権たる共同漁業を営む権利を持っている。したがって、それを侵害するには、その権利者である関係漁民から同意を取らなければならない。権利者から同意を取ることなく財産権を侵害することは不法行為となる。

ところが、最高裁見解によれば、漁協の意思決定だけで関係漁民の財産権たる「共同漁業を営む権利」を侵害してよいことになる。Aさんを殴るのに、Bさんの同意を得ればよい、というのと同じである。そんな馬鹿なことがあるはずがない。

ましてや漁協は、組合員の漁業振興のために組合員に奉仕することを目的とする団体である(水産業協同組合法1条、4条)。そのような漁協が、関係組合員の財産権を侵害する行為に、勝手に同意を与えることなどできるはずがない。

 

7.補償なき財産権の侵害になるうえ配分を説明できない

最高裁見解のように、漁業補償が漁協に支払われるものならば、関係漁民の財産権を補償なしに侵害できることになり、それはやはり不法行為となる。

最高裁判決は「漁業権放棄の対価として支払われる補償金は漁協に帰属するが、現実に漁業を営むことができなくなることによって損失を被る組合員に配分されるべき」と述べるが、一-2で述べたように、共同漁業権が放棄されても関係漁民は共同漁業を営めるから、この見解は全く成り立たない。また、漁協の財産を組合員に配分する際には、出資割及び利用割でなければならない(水協法56条)が、実際の配分基準は、平等割、被害割等から成っており、「漁協の財産の配分」では説明できない。

 

三、最高裁判決の論拠の誤り

 

最高裁判決は、昭和37年の漁業法改正にともない組合員の共同漁業を営む権利は入会権的権利から社員権的権利に変わったとし、その論拠として@共同漁業権は知事の免許によって設定される、A免許内容は知事の定める漁場計画に従う、B共同漁業権は法定の存続期間の経過により消滅する、C共同漁業権の免許は漁協等に対してのみ付与される、D組合員は組合等の定める漁業権行使規則に規定された資格を有する場合に限り漁業を営む権利を有し、資格を満たさない場合には漁業を営む権利を有しない、E漁協は法人格を有する、F漁協には加入脱退の自由が保障されている、G漁協は自ら漁業を営むこともできる、H漁協は特別決議により漁業権の放棄もできる、の九点を挙げている。

 

改正されていない論拠ばかり

 

しかし、@〜Bは、いわゆる漁業権の公的制約と呼ばれている点に過ぎず、C、E、Fは、入会団体は法人格がないのでそれに近い法人である漁協が選ばれたからに過ぎない。Gは、定置漁業権や区画漁業権に関することで、漁業権行使規則で「関係地区に住所を有する組合員」と資格限定される共同漁業権とは関係がない。そのうえ、そもそも@〜C、E〜Hは、37年法改正で何ら変更を加えられておらず、これらの点をもって37年法改正により権利の性格が変わった論拠とすることができるはずがない。

37年法改正で変更を加えられたのはDだけである。Dは、改正前は漁業法8条が「組合員全員が漁業を営む権利を持つ」旨規定されていたものを、漁業権行使規則により資格限定できるように改正されたのである。

 

入会団体は関係漁民集団である

 

最高裁がDを入会権的権利でなくなった論拠としているのは、入会団体を組合員集団と誤解しているからである。その誤解にもとづいて「組合員集団が入会団体であるならば、漁業権行使規則で資格限定され得るはずはない(D)、組合が法人格を持つはずがない(E)、組合に加入脱退の自由があるはずがない(F)」と判断しているのである。しかし、一-1、二-2から明らかなように、入会団体は関係漁民集団であって組合員集団ではないのである。

関係漁民集団には法人格がないから、関係漁民集団をして漁協を創らせ、そこに免許を与えることとした。そのことと漁協の持つ協同組合原則(設立自由、合併自由、加入脱退の自由)とが矛盾しないように、漁業法は、員外者の保護(14条11項)や複数漁協による免許の共同申請・共有請求(14条10項)の規定を設けているのである。

逆に、最高裁見解のように「共同漁業権が漁協の持つ権利であり、組合員の共同漁業を営む権利が社員権である」ならば、なぜ組合員全員でなく関係組合員のみが共同漁業を営めるのか、またなぜ員外者が共同漁業を営めるのか、全く説明できない。それらは、入会団体が関係漁民集団であるとすることによってのみ説明し得るのである。

 

8条改正は入会を保証し続けるもの

 

8条改正については、農林事務次官通達(昭和38年2月8日、38水漁第774号)により「漁業権行使規則で特定の者に資格限定できるとすることによって組合の合併促進に資することをねらいとする」と説明されている(当時の伊東正義水産庁長官の同趣旨の国会答弁もある)。

具体例に則して説明しよう。いま、甲、乙の二つの村落にそれぞれA、Bという二つの漁協があり、それぞれ1号(関係地区は甲)、2号(関係地区は乙)の共同漁業権の免許を受けていたが、AとBが合併してC漁協を設立するとしよう。その場合、旧8条のままであれば、1号・2号の免許を受けるC漁協の組合員全員が1号及び2号の共同漁業を営む権利を持つことになってしまい、旧来の入会関係が破壊されてしまう。そこで、37年改正では、それぞれの関係地区組合員が漁業権行使規則を定め、それによって資格限定できるとすることによって旧来の入会関係を保証するとともに、8条が漁協合併の障害になることを防いだのである。すなわち、37年の8条改正は、入会を否定する改正ではなく、入会を保証し続けるための改正なのである。

以上のように、平成元年七月一三日最高裁判決は、正当な論拠を全く欠いている。そればかりか、漁業法の規定とも埋立・ダム建設や漁業補償の実態とも全く矛盾しており、水産行政と漁業現場にもたらしている混乱と弊害ははかりしれないものがある。最高裁が速やかに修正されることを期待したい。

                  以上

もくじ


 

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MANAによる補注      戻る▲
やつしろ川漁師組合
熊本日日新聞(01/09/17、朝刊)記事より

○タイトル

やつしろ川漁師組合が発足 「ダム建設断固反対」

○本文記事

 川辺川ダム建設に反対し、球磨川の自然を守っていこうと、八代郡市の球磨

川漁協組合員らが十六日、任意団体「やつしろ川漁師組合」を発足させた。

 川辺川ダム建設に反対する同様の団体結成は坂本、上球磨地区に次いで三例

目。同漁協組合員が非組合員にも呼び掛け、一般市民も含め百二十八人が参加

した。

 八代市新町のやつしろハーモニーホールであった結成大会には約六十人が出

席。同漁協組合員の毛利正二さん(61)=八代市日置町=が設立趣旨を説明

した後、規約を採択。役員十三人を選出し、組合長には毛利さんを選んだ。

 毛利さんが「球磨川に取り返しのつかないダメージを与える川辺川ダム建設

を断固阻止しよう」とあいさつ。「母なる球磨川に禍根を残そうとしている川

辺川ダム建設計画に対し、いま行動を起こさなければならない」などとする大

会宣言を採択した。

 また、活動方針として(1)川辺川ダム建設阻止(2)既存ダム、堰(せき)

の改廃(3)緑のダム構想の早期実現、などを決めた。

 同組合は近く、ダム建設中止を求める抗議文を球磨川漁協や国土交通省川辺

川工事事務所、潮谷義子県知事などに提出する。