海って誰のものだろう?【投稿のページ】05

 

 利根川河川行政についての疑問 

 漁民無視の北千葉導水事業

―利根川名産くだりウナギがたべられなくなる!―

第2弾!!

誠実さも、責任感もない河川官僚たち

鈴木久仁直 Profile2003年9月1日受領)


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 「漁民無視の北千葉導水事業―利根川名産くだりウナギがたべられなくなる―」の続報・第2弾である。

 

 国家事業のため、都市用水確保のためと、利根川漁民は利根川河口堰をはじめ、数々の河川開発事業に血を流しながらも協力してきた。その結果、魚貝類の宝庫であった大利根はすっかり衰退している。

 惨状を訴える利根川下流の北総漁協は組合員が三分の一、50名に激減している。身を切って貢献し、犠牲になってきたのだが、河川官僚たちは漁業者へ配慮する気配もない。平成15年2月25日付けで国土交通省関東地方整備局の渡辺和足局長へ「北千葉導水事業の要望書」、同日青山俊行河川部長へ「北千葉導水事業への抗議書」を提出したことは第1弾で報告した。

 だが信じられないことに関東地方整備局長からも河川部長からも、今だに回答がなく、漁民の声を黙殺したままである。両者とも北千葉導水事業の計画、予算獲得など、事業の実現に努力してきた。それなのに事業の犠牲になっている漁民に回答する責任感も、誠実さも示さない。利根川河川行政に何の責任もないのか、発言権がないのか、あるいは回答に値しないと考えるのか理由さえわからない。回答できない理由を説明する最低限の礼儀すらない。

 出先の所長に処理を一任して、保身だけを考えているのだろうか。

 封建制の江戸時代ですら目安箱を設けて、庶民の声を聞こうと努めた。現在は民主主義の時代はずだが、文書で要望しても無視するのは江戸時代より悪政といえる。誰を見て河川行政を行っているのだろうか。少なくとも利根川漁民を見ていない。一方的に協力を求めるだけで、事情を聴こうという姿勢がない。

 同年3月24日、年度末をねらい関東地方整備局利根川下流工事事務所(以下「利根下流」と略す)の池田隆所長の名前で、「北千葉導水事業について」と題する文書を寄せている。出先の工事事務所所長が代わりに回答したものか。仮に回答というなら、質疑や要望に触れるのが常識であろう。これまでのように質問にまったく触れない文書を無理やりに回答と呼ぶだけだ。

 北総漁協は何年にもわたり、何度も質問状や抗議書を利根下流へ提出してきた。しかし、一度として回答と呼べるものはなかった。「質問に答えない文書は回答でない」「回答と称するのは欺瞞、詐欺以外のなにものでもありません。詐術でないなら日本語が分からない」とまで、あまりに情けない批判を行ってきた。それでも利根下流は北千葉導水の被害はありませんと勝手に自説を展開し、今回の回答のように「北千葉導水の運用に対しまして、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます」と臆面もなく繰り返すだけだ。

 また夏季の赤潮が初めて発生したと、実情や原因究明を要求しても、「赤潮はありません」と強引に否定する。事実をなかったことにし、議論を避けて、論点をかわすばかりである。

どうしようもなくなり、利根下流の上司、河川部長や局長に訴えた。だが漁民の声や事情を聴く意思が河川官僚にはなかった。

 北総漁協と利根下流との漁業交渉は期間だけが無為に過ぎさる。その間、利根川の自然環境が一段と悪化してしまう。2000年に北千葉導水が完成し稼動を開始した。20017月、利根川で夏季の赤潮が初めて発生する。そして利根川の天然ウナギも激減していることは先に紹介したとおりである。

 利根川下流一帯にヘドロがいっそう堆積し、漁場環境をさらに悪化させている。利根最下流で細々継続しているシジミ漁にも深刻な影響を与えている。シジミが産卵しても育つことができない。利根川名産のシジミは河口堰で大被害をうけ、北千葉導水で息の根が止まろうとしている。

 印旗沼も同様で刺し網等にヘドロが付着し、赤潮が発生して漁場環境が悪化している。印藤沼漁協が北千葉導水に危機感をつのらせているのは、第一弾で報告している。

 北千葉導水稼動後、手賀沼下流で取水する千葉県営水道はカビ臭が10倍になったことは紹介している。03331日の毎日新聞によれば、「国土交通省は県の要望を受け、手賀沼からの排出水が取水場よりも下流に放流されるよう、手段を検討」しているという。手賀沼の浄化のために利根川の水質(水道水源)が悪化したことを認め、排水口の位置の変更を検討している。

 小手先の対応策だが、水道の取水条件は改善するだろう。しかし、手賀沼の汚れを洗う浄化用水は河口堰の湛水域(バックウオータ)に流れ出す。排水位置の変更だけでは、利根川の自然環境に与える影響は軽減されない。

 北千葉導水により手賀沼は27年連続のワーストワンの汚名を返上した。結構なことだが、手賀沼の汚濁を利根川下流に押し付けている。国土交通省は千葉県の要望は認めるが、漁民の要望はかたくなに拒否する。これだけの影響が出ているのに、利根下流は北千葉導水の取水で吸い込む魚卵等しか自然環境への影響を認めていない。黒を白と言いくるめる論法で漁民の主張を押し殺している。

 事業には必ずメリットとデメリットがある。メリットを飾り立てるだけでなく、デメリットをきちんと評価し、軽減処置をとり、できない部分は補償する義務がある。事実を直視せず漁業被害はないとする倣慢な対応は許されないだろう。漁場環境への影響を警告する漁民を無視すれば、利根川の自然環境はますます悪化してしまうだろう。このまま漁場環境を軽視する姿勢が続くなら、一市民の立場で河川官僚に反省を促し、漁協の応援をしたいと思うのは私だけだろうか。

 

(財団法人日本自然保護協会元河川問題調査特別委員会委員)

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