海って誰のものだろう?【投稿のページ】07

 

 皆様のご支援が大至急必要なのです 

いま、なぜ大入島埋立ての

強行着工なのか

磯草(いそくさ)の権利の意味を訴える

岸野博史(大分県佐伯市民)


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もくじ

 

 連日マスコミで報道されていますが、大入島の住民の命がけの反対にもかかわらず、埋め立て工事を大分県は強行しています。住民は間違えたことをしているのでしょうか。

 そうではありません。工事を中止させなければなりません。

 

なぜ大入島の住民は命がけで反対しているのでしょうか。

 

 それは、明治時代以前から住民が持っていた漁業の権利を奪い、そして、子孫に受け継ぐべききれいな貴重な海を、大分県が強引に奪おうとしているからです。

 その海を、大分県はヘドロの廃棄物で埋めようとしています。住民でなくとも、工事強行は誰も理解できないことです。県も説明できないのでしょう、まともな説明もしていません。

 住民は「海を失って死ぬなら、今死ぬのも同じ」といって命がけで反対しています。

 

大入島はどういうところなのでしょうか。

 

 佐伯市大入島には、国内ではあまり獲れなくなったアワビやサザエなどが豊富に獲れ、また大分県の定めたレッドデーターブックでトップクラスの希少種の貝類を始め、多くの希少種が生息しています。中には、世界中でも3ヵ所しか確認されていないものもいます。世界的にも貴重な場所を破壊してしまえば回復することは不可能です。

 住民は地先の海岸を採草や貝などの採取をしながら、長い間大切に守ってきていました。しかし、大分県はこのことを無視し、何らの保全対策も策定せず工事を強行着工しています。

 

埋め立ての目的は何でしょうか。

 

 元々の目的は、埋め立て地に緑地や住宅地を建設する、ということが最終目的でした。

 しかし、過疎地であり住宅も余っている事を裁判で指摘されると、理由を一転させて佐伯港の航路浚渫だけに絞り、最後には、単に予算の消化の為ということで着工を強行させてしまいました。

 航路浚渫のための土砂処分であれば、ほかにも適切な場所はいくらでもあります。いろんな方法もあります。まともな検討もせず、大分県は安易な計画を策定し強行着工をしています。本当に航路浚渫が必要であれば、いまからでも計画を作り直すことも可能です。

 

なぜ強行着工なのか。

 

 県のいう着工の理由も、単に予算を繰り越せないからという理由です。なぜ繰り越す必要があるのでしょう。本当に必要な事業であれば、計画を考え直して予算を再度取れば良い話です。そうしないのは、本当に必要ではない事業のため、再度予算を取る理由がないからです。埋め立ての目的が航路浚渫であれば、計画を策定しなおせばいくらでも方法があります。工事を強行する理由はありません。

 大分県は、無駄な公共事業のために、貴重な自然の生態系を破壊しようとし、住民に無用の苦しみを与えているに過ぎません。

 

「磯草の権利」とは何でしょうか。

 漁業法という法律があります。漁業の振興のための法律です。漁業を始められるように権利を明確にしたものです。また同時に、明治時代以前から漁業で生計を立てていた人たちには、慣行として漁業権を与えています。権利が二重になっているのは、乱獲を防止する観点から本当の漁民を育成するためです。

 法律の変遷も何度かありましたが、この慣行権は消滅せず今でも残っています。

大入島では漁業法以前からの慣行権が残っている、日本でも数少ない地域です。

大分県はこのはっきりした漁業法を理解しようとせず、誤った解説書にしがみついて大入島の人たちの固有の権利を踏みにじっています。

 住民が提訴した「磯草の権利」とは、まさにこの権利の事で、裁判の中でも正当性が明らかになってきています。

 

漁業権放棄・埋め立て同意はどうなっているのか。

 

 埋め立てには漁業権放棄と埋め立て同意が必要です。大分県は佐伯市漁協を使って、漁業をしていない土建会社の社員を漁協組合員にしたりして埋立て賛成者を増やし、また島の人に説明もしないまま白紙委任状を取り付け、本人の知らない間に漁業権放棄や埋め立て同意書を作成しました。

 あらためて、本人に説明して意思を確認すると大半の人が埋立てに反対していることが分かりました。いわば、偽造された同意書です。

 大分県はこの偽造された同意書をもとに、埋立て免許の申請を行い、大分県が埋立て免許を発行しました。

 現在これについても大分地裁で係争中であり、少なくともこの判決が出るまでは着工すべきではないことは誰の目にも明らかでしょう。

 

住民の支援体制はどうなっているのか。

 

 大入島の実情が佐伯市の外にはあまり出なかったため、ほとんどの大分県民は実情を知らないままでした。

 はたして、このままで良いのでしょうか。

 今回の強行着工は、大分県の行政の無策と横暴を広く世に訴えるようなものです。

いま大入島の人たちは、行政に虐げられてきた事がはっきりしてきました。

島の住民は良心に従って、正義の行動を行っています。いまの日本で見られる事の少なくなった、正義を見せてくれました。

 今必要なのは心ある人々の支援です。

 無謀な埋立て工事を中止させる為、皆様方のたくさんの賛同の声を、大分県知事に伝えてください。

 

住民にとって初めての被害でしょうか。

 

 戦時中に海軍が軍港を作るといって、突然立ち退きさせられました。戦中戦後、着る物・食べる物もなく、幼児を抱えた家族は地獄の苦しみでした。戦後、興国人絹パルプの廃液垂れ流しのため、海が死んでしまいました。やっと海が回復してきたところで、今度はその海を取られてしまうのです。何の落ち度もない住民をここまで痛めつけるのが行政なのでしょうか。大分県知事は無為無策の人なのでしょうか。

 

(2005年1月28日投稿原稿テキストをMANAにより編集掲載しました。)

 

(C) Hirohumi Kishino , All rights reserved.

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