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Notes横浜A 洪福寺松原商店街―1日2万人が集まる活気あふれる街

安さと人情で毎日が大売出し

 神奈川台町の坂を登り、左に横浜市街地を眺めながらぐるっと左に回りこんで浅間下交差点にでて、浅間神社の参道の階段下をさらに歩いていくと、住宅地をふとぬけたところに、旧道にアーケードがかかっている。洪福寺松原商店街とある。この先に驚くべき光景が広がっていた。

 幅約10メートルの旧東海道の道スジに両道端に何軒もの八百屋がつらなり、店前に売場を張りだしているものだから、通行人のスペースは人が1人づつ行き来できるスペースしかない。毎日が歩行者天国。元気のいい売り人の声が響き渡っていた。3時過ぎに通りかかったときに、この調子だから、買い物時間帯の昼や夕方ともなると、買い物客でごったがえす。とにかく安い。それも特売日というのではなく、「毎日安い」のが売りになっているのだ。

 このような店の連なりの商店街が十字の道なりに、南北200m、東西250m四方に、鮮魚、青果、肉、豆腐、茶、乾物、弁当、ウナギの生鮮・食料品のあらゆるジャンルの店があり、中型スーパー、衣料品、薬局など生活必需品なんでもここに来ると手に入り、特徴のある飲食点も数多く出店している。

 この商店街の特徴は、場所がもより駅からも遠く、歓楽街のような場所からも離れているごく普通の住宅街である点だろう。安くて、品が豊富でしかもものがよければ、客は口コミで、寄って来る典型的な例だろう。この立地条件の悪さに成立している洪福寺松原商店街の成功をみると、量販店や安売り店の大型店が出店してさびれたという、元気のなくなった商店街の事例が多いなかで、結束と集客の工夫で十分に対抗が可能なのだということを教えてくれているようだ。今では、バスツアーまでが企画されて横浜市外からも県外からも買い物客が訪れている。

 この商店街のスタートは、昭和27年生鮮食品店を中心に発足した「松原安売り商店街」。それが昭和35年に地区の商店全体組織「洪福寺商栄会」と合併し「洪福寺松原商店街」が生まれた。

 昭和37年から、37店の有志により松原シールチェーンサービス会を結成し、客への還元サービスを開始し、現在でも続けられている。安売りの上に、こうした商店街いったいとなった、集客努力の積み重ねによって、現在の姿があるといえそうだ。

 この商店街の最大の特徴は、1つの商店街に、市場のように、魚屋、八百屋など同じ業種の生鮮食料品が何店もあり、値段や種類、品質を見比べながらこのみの商品を選べる楽しさがあること。なかでも、魚屋さんの頑張りが目を引く。ぼくがびっくりしたのが「魚幸鮮魚店」は1店あたりの広さなら、他地区にももっと広い店があるが、コンパクトにまとまった店内に鮮魚貝がならび、奥の一角には、マグロコーナーがあり、1サク500g〜1キロぐらいの策というよりブロックで1本ものマグロからおろし、次々客の好みの分量値段によって売りさばいていく。メバチマグロが主体だが、ときに本マグロや季節の生マグロを扱っている。ものがさばけないと仕入れが難しい貝類の扱いも豊富。

 首都圏の魚屋をずいぶんと見て回っているが、ウイークデーなのに目の前であふれる客と相対しながらさばく量から推察すると、首都圏の魚屋マグロ扱いベストスリーには必ず入るという気がした(あくまでぼくの直感で、実際に取材していないので不明だが、紹介されている売上高についての記事などを見ると、ほぼその通りのようである)。

 商店街がにぎわっているところには、必ず品質のよい刺し身、なかでも各種の値段帯のマグロを大量に売りさばいている鮮魚専門店の存在があることは、ぼくの経験則からいって事実なのである。

 

洪福寺松原商店街の案内

●場所=相模鉄道「天王町駅」より徒歩5分。国道16号線の十字路渡ってすぐ。

●営業時間=午前10時半頃から午後6時頃まで。店によって営業時間は異なるので、およその時間帯をしめす。ちなみに、「魚幸」は水曜定休。

●定休日=各店まちまちだが、ほぼ水曜・木曜が多い。

●問い合わせ=洪福寺松原商店街振興組合(045-341-7920)

参考 「横浜橋通り商店街」

横浜には、この洪福寺商店街のほかにも、パワフルな商店街が多い。なかでも、商店街の途中に大鷲神社や大衆演芸場「三吉演芸場」をかかえ、平成4年にあらたにアーケードをつくり新装なった横浜橋通り商店街は何度か訪れてその活気溢れた雰囲気に驚いた。商店街めぐりが好きな方にはお薦めの商店街だ。新しくて、浜っこの「下町」っぽさを備えた商店街として人気を集めている。140店のうち生鮮食品や惣菜店も多いが、韓国料理惣菜店が多いのも特徴。洋服店も多い。

●場所=南区。市営地下鉄坂東橋下車徒歩3分。

●営業時間=10時頃から午後8時ごろまで。各店ごとによる。

●定休日=商店街として設定していないが、生鮮食品店は土曜、日曜の週末に多いからそのつもりで。

●問い合わせ=横浜橋商店街協同組合(045-231-0286)

 

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